踊る大捜査線 THE MOVIE 3 の魅力と舞台裏

『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ！』は2010年7月3日に公開され、日本の映画界で大いに注目を集めました。フジテレビが製作した連続テレビドラマ『踊る大捜査線』の劇場版第3作であり、シリーズのファンにとって待望の新作でした。前作から7年ぶりの公開ということもあり、多くの期待が寄せられました。この映画のキャッチコピーには、「He’s back.」、「さらば、湾岸署。」などの印象的なフレーズが使われています。映画では、いかりや長介さんが演じた和久平八郎が故人となっており、音声によるライブラリ出演が行われていることでも話題を呼びました。また、伊藤淳史さんが演じる和久平八郎の甥、和久伸次郎という新たなキャラクターが登場することで、物語が新たな方向に進んでいます。

映画の舞台は、旧湾岸署から新湾岸署への引っ越しを目前に控えた湾岸署。青島俊作が係長に昇進し、新たなメンバーも加わり、シリーズの一新を図った作品として製作されました。劇中の設定は2010年3月28日から30日の3日間にわたり、連続して発生する8つの事件に青島たちが立ち向かいます。過去作品へのオマージュが散りばめられており、シリーズを通じてのファンにとっては見どころ盛りだくさんです。

公開されたのは全国447スクリーンという大規模で、多くの観客を動員しました。公開初日の興行成績は良好でしたが、その後の落ち込みが激しく、前作を上回る結果には至りませんでした。しかし、2010年度の邦画興行成績では第3位に輝いています。音楽担当が菅野祐悟氏に変更されながらも、シリーズの過去作品の楽曲もアレンジして使用されるなど、音楽面も工夫されています。

この映画はシリーズの新たな展開を提示しつつ、過去のキャラクターや事件を取り入れた、ファンにはたまらない内容となっています。青島の昇進や和久の教えを受け継ぐ物語は、シリーズのファンにとって感慨深いものであり、映画としてもその企画力とストーリーで観客を魅了しました。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』は、旧湾岸署から新湾岸署への引越しを背景に、捜査係長に昇進した青島俊作が直面する過去に関わった事件の“犯人達”の再登場が描かれます。
この劇場版第3作は、映画の始まりから観る者を引き込む緊張感あふれるシーンが満載です。
新たに昇進した青島俊作が引っ越しの準備を指揮する最中、複数の事件が次々と発生し、湾岸署は大きな混乱に見舞われます。
まず初めに発生したのはバスジャック事件と銀行強盗事件。
この異なる2つの事件には「何も盗られていない」という共通点があり、さらに新湾岸署では引っ越し業者に扮した若者達により武器庫から拳銃が盗まれるという前代未聞の事態が起こります。
この作品では、青島が過去に逮捕した犯人達が刑務所から解放されることを犯人が要求するなど、彼を精神的に追い詰めます。
青島はそのプレッシャーに立ち向かいながら、彼の健康問題や署内の仲間との葛藤も抱える場面が描かれています。
最後のクライマックスでは、新湾岸署が犯人に封鎖され、署員達が建物内に閉じ込められてしまうなか、青島が命をかけて事件を解決しようと奮闘します。
見応えのあるアクションと緻密に計算されたストーリーテリングが融合した本作は、観客に驚きと感動を与えます。

映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3』は、音楽とキャストという面で大きな話題を呼びました。
まず音楽ですが、前作までのサウンドを担当していた松本晃彦氏から、映画音楽で名高い菅野祐悟氏に交代しました。
菅野氏の新たな音楽は、映画全体の雰囲気を一新し、作品に新たな彩りを加えました。
しかし、シリーズの象徴ともいえるテーマ曲「Rhythm And Police」をはじめ、松本氏の楽曲もアレンジを加えながら使用される場面もあり、ファンにとっては懐かしさと新鮮さが絶妙にミックスされた音楽体験となりました。
一方でキャストに関しても、和久ノートという設定が重要な役割を果たしました。
このノートは、故・いかりや長介さんが演じた和久平八郎の意思を継ぎつつ、彼の甥である和久伸次郎役の伊藤淳史さんが新たな物語を紡いでいく鍵となります。
また、懐かしい顔ぶれの再登場もファンにはたまらない要素となりました。
小泉今日子さん、稲垣吾郎さん、岡村隆史さんが過去シリーズのキャラクターとして再びスクリーンに登場し、それぞれの存在感を発揮しました。
このように、新旧の融合が見事に果たされたことが、この映画の最大の魅力の一つとなっています。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』は、公開後初日2日間で非常に高い興行成績を収めました。
興収は9億7,199万3,450円を記録し、動員数は70万7,399人に達したのです。
この結果、週末興行ランキングで見事に第1位を獲得しました。
この記録は、まさに『踊る大捜査線』シリーズへの期待と、これまでに積み重ねてきたファンベースの大きさを物語っています。
とはいえ、その勢いは長く続きませんでした。
2週目にはランキングで一気に3位に転落し、週末2日間では6億7,300万円という成績にとどまってしまいました。
これにより69.2%という、シリーズでも類を見ないほどの急激な下落率を示し、興行成績は想定外の結果となりました。
最終的な興行成績は73.1億円に終わり、2010年度の興行収入邦画部門で第3位を獲得するに至りましたが、それでも前作と比べると大幅な減少であり、シリーズ内での課題を明らかにしました。
過去の作品が築いてきた興行記録と観客動員数を下回る結果は、この映画が抱えた興行面での影響力の限界を表しています。
映画『踊る大捜査線』シリーズは、その壮大なスケールと革新性により愛されてきましたが、この第3作では新たな方向性に挑戦した結果、評価が分かれることとなりました。

「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」は、これまでのシリーズの集大成として観客を魅了しました。
初めての視聴者にも楽しめる要素を持ちつつ、長年のファンには感慨深いオマージュがちりばめられているのが特徴です。
また、音楽担当者の変更に伴う新たなサウンドは、シリーズの新鮮さを引き立てています。