『死霊のえじき』(しりょうのえじき、Day of the Dead)は、1985年7月3日にアメリカで公開されたゾンビ映画。監督はジョージ・A・ロメロ。 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から続く、ロメロが手がけたゾンビ三部作の第3作目である。7年前に制作された前作『ゾンビ』に引き続き、ダリオ・ア…
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1. 映画『死霊のえじき』の基本情報
この作品はフロリダ州にある地下施設を舞台に、生き残ったわずかな人々がゾンビと戦う様子を描いています。
ロメロ監督は、経済的な制約がある中で、独自の脚本とストーリーを構築し、ゾンビ映画の新たな地平を切り開きました。
作品は、恐怖だけでなく人間同士の対立や社会崩壊といったテーマにも焦点を当てています。
ドライバーゾンビを演じたジョン・ハリソンが音楽を担当し、映画の緊張感を高めています。
ロメロのゾンビシリーズは、ゾンビ映画としてだけではなく、社会風刺の要素も含まれており、観る者に深い印象を与え続けています。
2. 制作背景と脚本の変更点
当初は前作『ゾンビ』に続く続編として、ダリオ・アルジェントの協力のもとに制作される予定でありました。
しかし、1980年代当時の経済状況により、米ドルがヨーロッパ通貨に対して高騰したことで、アルジェントからの資金確保が困難となり、ロメロは単独での制作を強いられたのです。
この経済的な制約は、脚本にも大きな影響を及ぼしました。
資金不足の中、ロメロは脚本の大幅な変更を余儀なくされました。
当初の脚本は大規模な戦闘シーンやスペクタクルが予定されており、一部では「ゾンビ版『インディ・ジョーンズ』」とまで言われていました。
しかし、予算に制限がある中ではそれを実現することができず、スケールダウンしたストーリーへと再構築されたのです。
結果として主人公サラは女ゲリラから科学者という設定に変更され、物語は閉鎖的な地下施設を舞台にした緊張感のあるドラマへと変貌しました。
このような背景から、本作は資金的制約を抱えながらも、その制約を逆手に取ったこだわりの演出と深みのあるストーリーテリングが特徴となっています。
ロメロ監督の手腕は、限られた予算の中で最大限の効果を引き出し、結果として今なお多くのファンに愛される作品として名を刻んでいるのです。
3. 主なキャラクターとその運命

ローガン博士はゾンビを飼いならす実験を密かに行っています。彼は「バブ」と名付けた元軍人のゾンビと心を通わせ、ゾンビにも生前の記憶が残っている可能性を研究しています。しかし、実験のために死亡した兵士の肉をゾンビに与えていたことが発覚し、軍の指揮官ローズ大尉により命を絶たれることになります。
ジョンとビリーは技術屋として生き延び、サラの仲間として最終的に脱出を図ります。彼らは軍と科学者の衝突に巻き込まれながらも、冷静な判断力で状況を乗り切ろうとします。彼らの選択には、観客自身の価値観を反映させる余地があり、エンディングは曖昧に終わります。
物語のクライマックスでは、ミゲルがゾンビの大群を施設に引き込むことで、サバイバルの緊張感は最高潮に達します。女科学者サラ、技術屋ジョンとビリーの3人は、ゾンビの恐怖から逃れ、最終的には遠くの島での新たな生活を目指します。しかし、その道中、彼らが無事に辿り着けたのかは明らかにはされません。不確かさが残る結末は、ゾンビ映画特有の恐怖感を観客に与える重要な要素となっています。
4. 日本での公開とそのバージョン違い

海外ではオリジナルバージョンがすでにソフトとして提供されていましたが、日本では2004年になってようやく、ハピネット・ピクチャーズからの発売で『死霊のえじき 完全版』が登場し、初めてオリジナルバージョンが鑑賞可能となりました。これにより、日本のファンは長らく待ち望んだ本来の作品の姿を楽しむことができるようになったのです。
このように、日本市場ではいくつかのバージョンが存在し、その都度内容が変わっていましたが、最終的に完全版が発売されたことにより、作品の真価を国内の観客も知ることができるようになりました。この経緯は、映画ファンや研究者にとって興味深い事例であり、映画公開における国際的な様々な課題についても考えさせられるものです。
5. サウンドトラックとその影響

最後に

この映画は、ロメロのゾンビ三部作の第3作目であり、1985年にアメリカで公開されました。
前作『ゾンビ』に引き続き、当初はダリオ・アルジェントとの共同制作が予定されていましたが、経済的な理由で実現せず、ロメロは資金を調達し単独で制作を進めました。
このため脚本を大幅に変更し、規模を縮小したものの、その陰鬱な世界観や、緊張感あふれるストーリーは多くのファンに支持され続けています。
物語は、ゾンビによって破壊された世界で生き残ったごく少数の人々が、地下の軍施設に篭りながらゾンビの研究を続ける様子を描いています。
主要なキャラクターには、科学者のサラ、ローガン博士、そして軍を指揮するローズ大尉らが登場します。
特にバブというゾンビの存在が、今もなお多くの議論を呼ぶポイントです。
ジュジェットの戦闘シーンや、ストーリーの進行と共に緊迫していく人間関係が、観る者を惹きつけます。
この映画は、日本でも様々なバージョンで公開されてきましたが、一部ではシーンが編集されたり、音声に変更が加えられたりしている場合があります。
2004年に発売された『死霊のえじき 完全版』では、初めてオリジナルバージョンが公開され、日本のファンにも歓迎されました。
さらに、続編やリメイク作品も作られており、これらもまた独自の人気を集めています。
『デイ・オブ・ザ・デッド2』や、スティーヴ・マイナーによるリメイク版も、オリジナルとは異なる視点やアプローチでゾンビ映画の新たな側面を提示しています。
この映画を観ることで、ゾンビという存在そのものの哲学的な問いかけをされているように感じることができます。
名作としての位置付けは不変であり、多様な解釈を許すその深みが、多くの観客を魅了し続けています。
映画を通して、私たちは恐怖と人間の本質について考えさせられることでしょう。
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