『ロッキー5/最後のドラマ』(ロッキーファイブ/さいごのドラマ、原題: Rocky V)は、1990年製作のアメリカ合衆国の映画。 『ロッキー』シリーズの5作目であり、『ロッキー4/炎の友情』(1985年)の続編。 シリーズ1作目で監督を務め各方面で絶賛されたジョン・G・アヴィルドセンを再び監督と…
15キロバイト (1,431 語) – 2024年10月9日 (水) 00:18
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1. 映画の背景と製作経緯

この作品の監督を務めたのは、シリーズの最初の作品でも監督を務めたジョン・G・アヴィルドセンでした。
彼が再びメガホンを取ることで、シリーズに新たな息吹をもたらすことが期待されました。
しかし、結果的にこの作品はシリーズ最低の興行成績に終わり、内容においても多くの批評を浴びることとなりました。
1990年に公開されたこの作品は、前作『ロッキー4』の成功を受け、さらなる進化を遂げようと試みたものの、観客の期待を上回ることができなかったのです。
製作に当たっては、シルヴェスター・スタローンが引き続き脚本を担当し、主演のロッキー・バルボア役にも彼が扮しました。
また、音楽を手掛けたビル・コンティの手によるテーマ曲も、本シリーズを通じての彼の貢献を示すものでした。
こうした製作スタッフの顔ぶれからも、映画にかける並々ならぬ意気込みが伝わってきます。
2. ストーリーの概要

本作では、前作『ロッキー4/炎の友情』の続きとして、ソビエトのボクサー、ドラゴとの一戦に勝利したロッキー・バルボアのその後が描かれます。帰国したロッキーは、信頼していた会計士の不正によって財産を失い、さらには度重なるボクシングの激闘から脳に回復不可能なダメージを負っていることが判明します。この事実を知ったロッキーは、妻エイドリアンの強い説得を受け、ついにボクサーとしてのキャリアに終止符を打つ決意を固めるのです。
ロッキーはフィラデルフィアに戻り、かつてのトレーナーであるミッキーのジムを引き継ぎます。そこに現れたのが新たな才能、トミー・ガンです。ロッキーはトミーに目をかけ、彼を一人前のボクサーに育てることに情熱を注ぎます。しかし、トミーはロッキーの元を離れ、享楽的な生活を選んでしまいます。成り上がりを目指すトミーの選択は、師であり、かつての英雄であるロッキーを裏切るものとなりました。師弟関係にひびが入った二人の物語は、観客に切ない感情を呼び起こします。
最終的に、トミーの行動は自身の名誉を汚すものであることを証明し、ロッキーとトミーの決着がニューヨークのストリートで行われます。この対決は、ロッキーの内に秘めたる情熱と、真の強さを再び世に知らしめる結果となりました。
3. 師弟関係と対立

この作品では、ボクシングのリングだけでなく、師弟関係の複雑さとその葛藤が描かれています。
フィラデルフィアに帰郷した伝説のボクサー、ロッキー・バルボアはトレーナーとして新たな道を歩み出しました。
彼は亡きトレーナーであるミッキーの魂を受け継ぎ、希望あふれる若手ボクサー、トミー・ガンを育成しようと努めます。
しかし、弟子と師匠という絆は、決して平坦な道ではありませんでした。
トミーは次第にロッキーの手を離れ、名誉と富を追い求める誘惑に打ち勝つことができず、結果的にロッキーとの関係に亀裂が入ります。
この物語は、ロッキーが自身の人生の経験を通じて、真の成功とは何かを問いかけるものでした。
上辺だけの成功を求めるのではなく、本物の強さと誇りを自らの行動で示すことに苦悩するロッキー。
彼の心の内面は、観客に深い感動を与えました。
そして、最終的に二人の師弟対決が激しく展開されるクライマックスでは、ロッキーが再び真の英雄としての姿を見せます。
この対決は、単なるボクシングの試合ではなく、人間の尊厳とプライドをかけた一戦として心に刻まれます。
観客から批判を浴びた作品ですが、その裏側には、ロッキーならではの人間ドラマが息づいている作品でもありました。
4. 映画の評価と続編

この映画がシリーズに与えた影響は非常に大きく、興行成績においても最低記録を更新してしまいました。それにもかかわらず、ファンの熱意とロッキーというキャラクターの魅力は衰えることがなく、新たな物語の展開を待望する声が多く上がりました。これに応え、2006年には続編となる『ロッキー・ザ・ファイナル』が制作されました。この続編は、ロッキーが再びリングに立つ姿を描き、シリーズのファンにとっては感動的な作品となりました。
こうした背景には、ロッキーシリーズが持つ独特の魅力と、主人公ロッキー・バルボアの人間味あふれるキャラクターが、時代を超えて愛され続ける秘密があるのかもしれません。そのため、たとえ評価が厳しくとも、新たな挑戦をし続けるロッキーの姿は、多くの人々にとって希望の象徴であり続けたのです。
5. 最後に

この作品は、興行面でも批評面でも不運でしたが、それでもロッキーというキャラクターに深みを与えた一作とも言えるでしょう。主人公が引退と復活の間で揺れ動くこの過程は、次回作『ロッキー・ザ・ファイナル』での復活劇へとつながる重要な土台となりました。最終的に、ロッキーと新鋭ボクサーのトミー・ガンとの師弟関係と対立が物語の軸となり、ロッキーは自らの道を再び見つけ出すことになります。このようなテーマが、次回作で見事に立ち上がる土壌を形成しました。
ロッキーとトミーの師弟関係の破綻は、他者を信じることの大切さと同時に、その信頼が裏切られた時の痛みを浮き彫りにします。ファンの間では賛否が分かれる本作ですが、ロッキーの新たな一面を覗かせた点は、シリーズの中で忘れがたい要素となっています。シリーズが復活するからこそ、この映画の存在価値はより一層際立って見えるのかもしれません。
6. キャストとスタッフ

共演には、シリーズを通じてロッキーの支えとなり続けたエイドリアン役のタリア・シャイアや、ポーリー役のバート・ヤングが登場しています。また、新たにロッキーの弟子となるトミー役に、実際のボクサーであったトミー・モリソンがキャスティングされており、リアルなボクシングシーンを実現しています。ロッキーとエイドリアンの息子、ロッキー・ジュニアとしてセイジ・スタローンが参加しており、スタローン一家としての絆がスクリーンでも表現されています。
スタッフ陣に目を向けると、監督には第一作目でメガホンを取ったジョン・G・アヴィルドセンが復帰し、再びシリーズの集大成を図っています。また、脚本は主演のスタローン自らが担当し、彼の思い入れが随所に感じられる構成となっています。
音楽はシリーズを通じて作品を盛り上げてきたビル・コンティが手掛け、印象的なメロディで観客を魅了します。彼の音楽は、ロッキーシリーズの象徴とも言える存在であり、今回もその期待を裏切らない仕上がりとなっています。
『ロッキー5/最後のドラマ』では、このようにキャストとスタッフが一体となりシリーズの一つの区切りをつける作品作りに挑んでいます。
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