【欲望のバージニア(2012)】シャイア・ラブーフ×トム・ハーディ×ゲイリー・オールドマン!禁酒法時代の実話に基づく骨太クライム・アクションを徹底解説

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※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

2012年に公開されたアメリカ映画『欲望のバージニア』(原題:Lawless)は、アメリカ禁酒法時代のバージニア州を舞台に、密造酒ビジネスで名を馳せた実在のボンデュラント3兄弟の実話に基づいたクライム・アクション映画です。監督は『ザ・ロード』のジョン・ヒルコート、脚本と音楽はニック・ケイヴ(バッド・シーズ)が担当。主演にシャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ジェイソン・クラーク、悪役にガイ・ピアース、さらにジェシカ・チャステイン、ミア・ワシコウスカ、デイン・デハーン、そしてゲイリー・オールドマンという錚々たる顔ぶれが集結しました。第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、上映後10分近くに及ぶスタンディングオベーションを受けた本作の全貌を、公的情報をもとに詳しく解説いたします。


作品概要:基本情報

『欲望のバージニア』(原題:Lawless)は、2012年に製作・公開されたアメリカのクライム・ドラマ映画です。原作はボンデュラント兄弟の末っ子ジャックの孫にあたる作家マット・ボンデュラントが2008年に発表した同名小説(原題:The Wettest County in the World)をもとにしています。

監督はジョン・ヒルコート、脚本はニック・ケイヴ、製作はルーシー・フィッシャー、ミーガン・エリソン、ダグラス・ウィック、マイケル・ベナローヤ、撮影はブノワ・ドゥローム、編集はディラン・ティチェナー、音楽はニック・ケイヴとウォーレン・エリスが担当しています。配給は北米でワインスタイン・カンパニー、日本ではギャガです。第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で2012年5月19日にプレミア上映され、北米では同年8月29日、日本では2013年6月29日に劇場公開されました。

項目内容
原題Lawless
製作年2012年
製作国アメリカ
監督ジョン・ヒルコート
脚本ニック・ケイヴ
原作マット・ボンデュラント『欲望のバージニア』(2008年)
音楽ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリス
撮影ブノワ・ドゥローム
製作費約2,600万ドル
上映時間116分
レーティングR15+
配給(北米)ワインスタイン・カンパニー
配給(日本)ギャガ
北米公開2012年8月29日
日本公開2013年6月29日
北米興行収入約3,740万ドル
全世界興行収入約5,368万ドル

実話の背景:禁酒法時代のバージニア州フランクリン郡

本作の舞台となったバージニア州フランクリン郡は、禁酒法時代(1920〜1933年)において「世界で最も密造酒の製造が盛んな地域」として知られていたとされています。

本作の主人公となるボンデュラント3兄弟——ハワード、フォレスト、ジャック——は実在した人物で、禁酒法が施行されていた1920〜30年代に当地で密造酒ビジネスを展開し、その大胆さと不死身ともいえるタフさで伝説的な存在となっていきました。特に次男のフォレストは、何度も命を落としかけながらも生き延びたことから、地元では「不死身の男」として語り継がれています。原作小説はこのボンデュラント兄弟の末っ子ジャックの孫にあたるマット・ボンデュラントが、実話に数十年にわたる噂やゴシップを織り交ぜて書き上げたベストセラー小説です。


あらすじ:賄賂を拒否した兄弟と腐敗した特別補佐官の死闘

1931年のバージニア州フランクリン。スペイン風邪で両親を亡くしながらも1人生き残ったとされる次男フォレスト(トム・ハーディ)は、長男ハワード(ジェイソン・クラーク)とともに密造酒ビジネスで地域に確固たる地盤を築いていました。三男で末っ子のジャック(シャイア・ラブーフ)は、兄たちのように喧嘩が強いわけでも有能なわけでもなく、コンプレックスを抱えながら兄弟の家業を手伝っていました。

フォレストはシカゴから流れてきた訳ありの女性マギー(ジェシカ・チャステイン)をガソリンスタンド兼食堂のウエイトレスとして雇います。一方ジャックは、地元の牧師の娘バーサ(ミア・ワシコウスカ)に一目惚れし、彼女に認めてもらおうと必死になります。

そんな中、街を実質的に牛耳るギャングのボスで、殺人罪で指名手配中のフロイド・バナー(ゲイリー・オールドマン)との取引にジャックが無謀にも挑戦します。命を懸けたハッタリで通常の倍以上の価格での取引に成功したジャックは、一躍大金を手にします。

一方、新任の検察局特別補佐官チャーリー・レイクス(ガイ・ピアース)が着任し、密造酒業者から法外な賄賂を要求し始めます。多くの業者が従う中、ボンデュラント兄弟だけはこの要求を拒否します。この決断がレイクスの怒りに火をつけ、彼は脅迫・暴力・刺客を送ることで兄弟を追い詰めていきます。フォレストは夜道で何者かに喉を掻き切られますが奇跡的に生き延び、マギーも暴力の被害を受けます。やがて兄弟の怒りが爆発し、レイクスとの本格的な死闘が始まります。


キャスト紹介:新旧のスターが競演した豪華な顔ぶれ

シャイア・ラブーフ(ジャック・ボンデュラント役)

本作の語り手的な主人公で、自信と力量に欠けるボンデュラント3兄弟の末っ子を演じています。当初は他のスター俳優が揃っていた本プロジェクトが一時頓挫した際も、最後まで残った俳優です。ラブーフが映画『ブロンソン』を観賞してトム・ハーディに本作の脚本を送ったとされており、ハーディの参加のきっかけを作った人物でもあります。

トム・ハーディ(フォレスト・ボンデュラント役)

実質的な主人公ともいえる次男フォレストを演じています。寡黙で無骨ながらも強烈な意志と存在感を持つ「不死身の男」を体現しており、本作のハーディの演技は批評家から特に高く評価されました。当初この役にはライアン・ゴズリングが予定されていましたが、プロジェクトの一時頓挫後にハーディが起用されました。

ジェイソン・クラーク(ハワード・ボンデュラント役)

長男で、弟思いながらも酒癖の悪い人物を演じています。

ガイ・ピアース(チャーリー・レイクス役)

本作の悪役で、腐敗した検察局特別補佐官を演じています。気障で冷酷かつ残忍なキャラクターを、特徴的なヘアスタイルと静かな怪演で体現しており、本作における最大の敵役として際立った存在感を示しています。

ジェシカ・チャステイン(マギー・ボーフォード役)

シカゴから流れてきた訳ありの女性マギーを演じています。フォレストの心の支えとなる存在として重要な役割を担っています。撮影監督のブノワ・ドゥロームが監督にチャステインを推薦し、起用が決まったとされています。

ミア・ワシコウスカ(バーサ・ミニクス役)

ジャックが恋する牧師の娘を演じています。

ゲイリー・オールドマン(フロイド・バナー役)

殺人罪で指名手配を受けながら街を実質支配するギャングのボスを演じています。本作でのオールドマンの出演場面は限られているものの、登場するたびに放つ圧倒的な存在感はフランクリン郡の危険な空気を体現しており、ジャックが命懸けで挑む相手として強烈な印象を残しています。日本語吹替は辻親八さんが担当しています。

デイン・デハーン(クリケット・ペイト役)

蒸留所で働く青年で、ジャックの親友を演じています。

デイン・デハーン(クリケット・ペイト役)

ジャックの親友で蒸留所の青年を演じています。後に「スパイダーマン」シリーズなどで知られるようになった若手俳優です。


制作背景:ニック・ケイヴが手がけた脚本と音楽

本作の制作において特筆すべきは、脚本と音楽の両方をオーストラリア出身のミュージシャン、ニック・ケイヴ(バッド・シーズ)が担当していることです。ニック・ケイヴはウォーレン・エリスとともに映画音楽も精力的に手がけており、本作でも薄暗くアメリカ南部の哀愁を漂わせるスコアを提供しています。

監督のジョン・ヒルコートと脚本のニック・ケイヴは本作以前から協力関係にあり、ヒルコート監督の映画『プロポジション/血の誓約』(2005年)でもケイヴが脚本と音楽を担当していました。このコンビが醸し出す乾いた暴力と詩的な世界観が、禁酒法時代のバージニアという舞台に見事に重なっています。

撮影はブノワ・ドゥロームが担当し、バージニア州の緑豊かな山岳地帯と土埃の街を美しく映し出しています。音楽にはニック・ケイヴ&バッド・シーズの楽曲のほか、エマー・ルーハンやホワイト・ストライプスらによるカバー曲も使用されており、時代設定と現代的なサウンドが独特に混在した音楽が本作の世界観を彩っています。

なお、本作はキャスティングの段階で数多くの俳優の名が挙がっています。当初フォレスト役にはライアン・ゴズリング、ハワード役にはジェームズ・フランコ、女性役にはエイミー・アダムスとスカーレット・ヨハンソンが参加していましたが、資金難によるプロジェクト頓挫の際にほぼ全員が抜け、最終的にラブーフが残留しシャフルした結果として現在の豪華キャスティングが実現しました。


カンヌ映画祭と評価

本作は2012年5月19日に第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、上映後に10分近くに及ぶスタンディングオベーションを受けたことで大きな話題となりました。

製作費約2,600万ドルに対し、北米興行収入は約3,740万ドル、全世界では約5,368万ドルを記録し、商業的に製作費を上回る成功を収めました。批評面ではロッテン・トマトーズで批評家支持率67%(196件のレビュー)と概ね好意的な評価を受けており、トム・ハーディとガイ・ピアースの演技、ニック・ケイヴのサウンドトラック、バージニアの美しい映像については特に高い評価が集まりました。一方で禁酒法時代の歴史的背景の描き方が物足りないという批判も一部見られました。


まとめ:実話に刻まれた伝説の3兄弟の骨太クライム・アクション

『欲望のバージニア』は、禁酒法時代というアメリカ史の特異な一ページを舞台に、腐敗した権力に立ち向かう3兄弟の実話を骨太なクライム・アクションとして描いた力作です。トム・ハーディの圧倒的な存在感、ガイ・ピアースの冷酷な悪役演技、ニック・ケイヴが紡ぐ詩的な脚本と哀愁漂う音楽が三位一体となって、アメリカ南部の無法時代を生々しく描き出しています。

カンヌ映画祭でのスタンディングオベーションが物語るように、映画のスケールと完成度は本物です。ゲイリー・オールドマン演じるギャングのボスも限られた出番ながら強烈な存在感を残しており、総じて出演者全員が高水準の演技を披露しています。現在はDVD・Blu-rayのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。


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