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2015年に公開されたアメリカ映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』(原題:Child 44)は、日本で2009年版「このミステリーがすごい!」海外編で第1位を獲得したトム・ロブ・スミスのベストセラー小説を映画化したスリラー映画です。主演はトム・ハーディ、共演にゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン、ヴァンサン・カッセル、パディ・コンシダイン、ジェイソン・クラーク、チャールズ・ダンスという実力派俳優陣が集結。製作はリドリー・スコット、監督はダニエル・エスピノーサ、脚本はリチャード・プライス。スターリン独裁政権下の1953年のソ連という息の詰まる舞台で、国家によって隠蔽され続ける連続児童殺人の真相を追う秘密警察捜査官の姿を描いた、社会派クライム・サスペンスです。本記事では作品概要・原作・あらすじ・キャスト・制作背景・評価まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(原題:Child 44)は、2015年に製作されたアメリカのスリラー映画です。
監督はダニエル・エスピノーサ、脚本はリチャード・プライス、製作はリドリー・スコット、マイケル・シェイファー、グレッグ・シャピロ、撮影はオリヴァー・ウッドが担当しています。製作はリドリー・スコットのスコット・フリー・プロダクションズが関与しており、配給はサミット・エンターテインメント(北米)、日本ではギャガが担当しました。日本では2015年7月3日に劇場公開されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Child 44 |
| 製作年 | 2015年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ダニエル・エスピノーサ |
| 脚本 | リチャード・プライス |
| 原作 | トム・ロブ・スミス『チャイルド44』(2008年) |
| 製作 | リドリー・スコット、マイケル・シェイファー、グレッグ・シャピロ |
| 撮影 | オリヴァー・ウッド |
| 製作費 | 約5,000万ドル |
| 上映時間 | 137分 |
| 配給(北米) | サミット・エンターテインメント |
| 配給(日本) | ギャガ |
| 日本公開 | 2015年7月3日 |
| 全世界興行収入 | 約1,364万ドル |
原作について:「このミステリーがすごい!」1位の問題作
本作の原作は、イギリスの作家トム・ロブ・スミスが2008年に発表した小説『チャイルド44(Child 44)』です。日本では新潮文庫から上下巻で翻訳出版されており、2009年版「このミステリーがすごい!」海外編で第1位を獲得した話題作です。
原作の大きなモデルとなったのは、ソ連時代に実在したシリアルキラー、アンドレイ・チカチーロの事件です。チカチーロはウクライナ生まれで、1978年から1990年にかけて52人の子供と女性を殺害したとして、1992年に死刑判決を受けています。小説はこの実在の事件にインスパイアされながらも、独自のフィクションとして構成されており、主人公の設定や物語の展開は実際の捜査とは大きく異なります。
なお、本作はロシアで上映禁止となりました。ロシア側は「ソ連時代のロシアを誤って描写している」としてその理由を説明しています。
あらすじ:「楽園に殺人は存在しない」という欺瞞と戦う男
1933年、スターリン政権下のソ連。ウクライナでホロドモール(大飢饉)が起き、無数の孤児が生まれた。そのひとりだった少年は飢えと暴力の孤児院から脱走し、レオという名を与えられて軍人の養子となります。
時は流れ1953年。成長したレオ・デミドフ(トム・ハーディ)は国家保安省(MGB)の敏腕捜査官として活躍していましたが、その捜査の中でかつての親友アレクセイの息子が線路そばで遺体となって発見される悲劇に遭遇します。上官は「事故だ」と断じましたが、レオには子供を標的とした連続殺人の可能性が拭えませんでした。しかしスターリン政権下のソ連は「犯罪なき理想国家」を標榜しており、殺人事件の存在を認めることは国家の理念に反する行為でした。
さらに、レオが心から愛する妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にスパイ容疑がかけられます。同僚のワシーリー(ジョエル・キナマン)からの密告によるものでした。「彼女のスパイ容疑を認めるか、それとも一緒に地方へ左遷されるか」——レオはライーサをかばい、二人でウラル地方の小さな街ヴォルスクに追いやられます。
ヴォルスクの民警で将軍を務めるネステロフ(ゲイリー・オールドマン)は当初、レオに強い反感を持っていました。しかしある日、アレクセイの息子の遺体と同じ特徴を持つ少年の変死体が発見されます。同一犯による連続殺人を確信したレオは、ネステロフに協力を求めます。ネステロフは逡巡しながらも、真実を求めるレオの情熱に動かされ、二人は連携して44人もの子供たちが同じ手口で殺されていることを突き止めていきます。
国家機密として封じ込めようとする権力と戦いながら、レオとライーサ、そしてネステロフは真犯人へと迫っていきます。
キャスト紹介
トム・ハーディ(レオ・デミドフ役)
本作の主人公で、MGBの敏腕捜査官を演じています。孤児から英雄的捜査官へと成長しながらも、国家の欺瞞と向き合う複雑な人物を、重厚な存在感で体現しています。トム・ハーディはゲイリー・オールドマンとの共演について「史上最も優れた性格俳優の1人。彼のような人と共演すると自分の演技も磨かれる。夢のようだった」と語っています。本作はトム・ハーディとゲイリー・オールドマンの4度目の共演作にあたります(それ以前に『欲望のバージニア』『裏切りのサーカス』『ダークナイト ライジング』で共演)。
ゲイリー・オールドマン(ネステロフ将軍役)
ヴォルスク民警の将軍で、レオの捜査に協力していく人物を演じています。当初はレオに敵対的でありながら、次第に真実に目を向けていく人物の変化を、オールドマンならではの静かな存在感で演じています。日本のテレビ放送版吹替は安原義人さんが担当しています。
ノオミ・ラパス(ライーサ・デミドワ役)
レオの妻を演じているスウェーデン出身の女優で、映画『ドラゴン・タトゥーの女』オリジナル版への出演でも知られています。スパイ容疑という理不尽な処遇を受けながらも、夫とともに真実を探ろうとする役どころを演じています。
ジョエル・キナマン(ワシーリー役)
レオを妬み、密告によって陥れるMGBの同僚を演じています。スウェーデン出身の俳優で、テレビシリーズ「ザ・キリング」などへの出演で知られています。
ヴァンサン・カッセル(クズミン少佐役)
MGBの上官を演じているフランス出身の名優です。
パディ・コンシダイン(マレヴィッチ役)
重要な役どころを演じています。
ジェイソン・クラーク(ブロツキー役)
スパイ容疑をかけられた獣医を演じています。
チャールズ・ダンス(グラチョフ少佐役)
「ゲーム・オブ・スローンズ」のタイウィン・ラニスター役で知られる俳優が出演しています。
制作背景:リドリー・スコット製作と「ロシアで上映禁止」
本作の製作総指揮を務めたのは、映画『ブレードランナー』『グラディエーター』で知られる名匠リドリー・スコットです。スコット・フリー・プロダクションズが製作に参加しており、本格的なスケールとクオリティで作品が作られています。
スペイン出身のダニエル・エスピノーサ監督はスウェーデンで名声を確立した後、ハリウッド進出作『デンジャラス・ラン』(2012年)で注目を集め、本作が代表作となっています。
撮影は主にチェコのプラハで行われており、1950年代のソ連の街並みが精密に再現されました。リチャード・プライスの脚本は、原作の複雑な構造を映画として整理しながら、スターリン政権下のソ連社会の恐怖と不条理を重要なテーマとして維持しています。
最も注目すべき出来事のひとつが、ロシア連邦文化省が本作のロシアでの公開を禁止したことです。公式の理由として「ソ連時代のロシアを誤って描写している」というものが示されました。
評価:強力な素材に比して惜しい映画化という評価が多数
製作費約5,000万ドルに対し全世界興行収入は約1,364万ドルにとどまり、興行的には大きな苦戦を強いられた作品です。ロッテン・トマトーズでも批評家支持率27%(83件のレビュー)という低調な評価を受けており、批評家の総評は「『チャイルド44 森に消えた子供たち』の核には魅力的なストーリーがあり、主演のトム・ハーディが堅実な演技を見せているが、充分なスリルに欠けたスリラーもどきになってしまっている」とまとめられています。
一方でFilmarksでは平均3.3点(5点満点)と一般観客にはそれなりの評価を受けており、「トム・ハーディとゲイリー・オールドマンの演技合戦が見もの」「スターリン体制の恐ろしさが伝わる」という声が多く見られます。「社会派サスペンスとして見ればある程度楽しめるが、ミステリー要素が薄かった」という意見も代表的です。
まとめ:スターリン時代の恐怖と正義を問う重厚なクライム・サスペンス
『チャイルド44 森に消えた子供たち』は、「犯罪なき理想国家」というスターリン体制の建前と、残酷な現実の狭間で真実を求める男の姿を、重厚な俳優陣で描いた社会派クライム・サスペンスです。トム・ハーディの骨太な演技、ゲイリー・オールドマンが醸し出す存在感、スターリン政権下の密告社会の恐ろしさをリアルに描き出したプロダクション・デザインは、今も色あせない魅力を持っています。
「このミステリーがすごい!」1位の原作を期待するとミステリー要素の薄さに戸惑いを感じる方もいるかもしれませんが、国家と個人の正義をめぐる重厚な人間ドラマとして向き合えば、見応えのある作品です。現在はDVD・Blu-rayのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。
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