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1976年に公開された『1900年』は、ロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデューが共演し、5時間を超える圧倒的な上映時間で語り継がれるイタリア映画史屈指の大作です。監督を務めたベルナルド・ベルトルッチ監督ならではのスケール感、豪華なキャスト、そして常軌を逸した製作規模など、本作の見どころを公的な情報をもとに整理してご紹介いたします。あらすじや結末には触れず、作品の基本情報を中心にまとめておりますので、これから鑑賞を検討されている方にも安心してお読みいただけます。
1、映画『1900年』(1976年)とは?ベルトルッチが描いた20世紀イタリアの叙事詩
『1900年』は、1976年に公開されたイタリア・フランス・西ドイツ合作の歴史ドラマです。原題は「Novecento」で、これはイタリア語で「1900年代」あるいは「20世紀」そのものを指す言葉になります。単純に西暦の1900年という一時点だけを意味する単語ではないため、日本語の題名は原題の持つ広がりを完全には表しきれていないという指摘もある作品です。
北イタリアのポー河流域を舞台に、同じ日に生まれた二人の男性の人生を軸として、ファシズムの台頭や農民と地主の階級闘争など、激動の時代を大きなスケールで描いた歴史大作になります。監督を務めたのはベルナルド・ベルトルッチ監督で、後年『ラストエンペラー』でアカデミー賞監督賞を受賞することになる巨匠が、まだキャリア半ばであった時期に手がけた野心作の一本です。
本記事では、あらすじや結末には深く触れず、作品の基本情報や製作の背景、キャストの魅力、そして規格外ともいえるスケールの大きさを中心にご紹介いたします。長尺映画に興味がある方や、1970年代のヨーロッパ映画に触れてみたい方の参考になれば幸いです。
2、監督ベルナルド・ベルトルッチと物語の舞台設定
監督のベルナルド・ベルトルッチ監督は、イタリアを代表する映画作家の一人です。詩人としても活動していた経歴を持ち、若くして頭角を現した後、社会や歴史を大きなスケールで見つめる作風で知られるようになりました。『1900年』では、ハリウッドの資金も投入しながら、自身にとって馴染み深いイタリア北部の農村地帯を舞台に選び、20世紀前半のイタリア現代史を丸ごと映像に刻み込もうと試みています。
物語の舞台となるのは、大地主の一族と、そこで働く小作人たちが暮らすポー河沿いの農村です。広大な田園風景と、そこに生きる人々の暮らしぶりが、移動撮影を多用したカメラによって美しくも力強く映し出されます。単なる個人の人生を追うだけでなく、その背景に流れる時代のうねりを常に意識させる構成になっている点が、本作を単なる大河ドラマ以上の作品にしていると評されています。
3、ロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデュー、豪華共演の見どころ
主演を務めたのは、地主の跡継ぎであるアルフレード役のロバート・デ・ニーロと、小作人の家に生まれたオルモ役のジェラール・ドパルデューです。この対照的な立場にある二人を中心に、ドミニク・サンダをはじめとする豪華な顔ぶれが物語を彩っています。
当時のデ・ニーロは、すでにハリウッドで実力派俳優としての評価を確立しつつある時期でした。一方のドパルデューは、フランスを代表する俳優へと大きく飛躍していく途上にあり、本作はその後の国際的な活躍を予感させる出演作の一つとなりました。生まれながらの身分は違えど、幼い頃から共に過ごしてきた二人が、それぞれの立場で時代の荒波と向き合っていく様子を、二人の名優がどのように演じ分けているかという点は、鑑賞する上で大きな見どころといえます。
4、5時間を超える圧倒的な上映時間
『1900年』の特徴として、多くの映画紹介記事で真っ先に語られるのが、その上映時間の長さです。総尺は316分、およそ5時間16分にも及びます。日本での劇場公開時には、あまりの長さから前後編に分けて上映される形が取られました。
一般的な劇場公開作品としては異例のスケールであり、公開当時から観客にとって大きな挑戦となる作品でした。物語をじっくりと腰を据えて描くことで、一人ひとりの人生の歩みと、その背後にある時代のうねりとを丁寧に重ね合わせるという構成になっており、この長さそのものが作品のテーマを体現していると評されることもあります。近年ではソフト化や配信によって、自宅で自分のペースに合わせて鑑賞できる環境も整ってきています。
5、常軌を逸したスケールの製作背景
本作の撮影期間は14ヶ月にも及びました。当初の予定は9ヶ月ほどでしたが、追加撮影によってさらに5ヶ月が費やされることになったとされています。さらに、動員されたエキストラの数は12,000人以上ともいわれ、農村での群衆シーンや歴史的な出来事を描くシーンに大きな厚みを与えています。
製作費についても、当初はユナイテッド・アーティスツ、パラマウント・ピクチャーズ、20世紀フォックスという3社からそれぞれ200万ドルずつ、合計600万ドルの予算が組まれていました。しかし最終的には予算を大幅に超過し、900万ドル程度にまで膨れ上がったと伝えられています。1970年代当時としては破格の規模であり、ベルトルッチ監督がいかに本作に力を注いだかがうかがえるエピソードです。これほどの規模の作品を一人の監督が手がけ切ったこと自体が、映画史における一つの記録ともいえるでしょう。
6、日本での公開と作品の評価
日本での劇場公開は、製作から少し時間が経った1982年10月23日でした。フランス映画社の配給によって公開され、上映時間の長さも相まって、公開当時から大きな話題を呼んだ作品です。
一部では「呪われたカルト・ムービー」と自嘲交じりに語られることもあるように、大規模な製作体制と豪華なキャストにもかかわらず、必ずしも幅広い一般層に広く受け入れられたわけではありませんでした。しかし、その分だけ映画ファンや批評家の間では独特の存在感を放ち続けており、長尺映画の代表格として語り継がれています。ちなみに、5時間を超える長さで知られる作品としては、イングマール・ベルイマン監督による『ファニーとアレクサンデル』もしばしば並べて紹介される一本です。作品の評価軸は時代とともに少しずつ変化しており、公開当初は賛否が分かれたものの、近年ではその映像的な野心や歴史的な視点があらためて見直される機会も増えています。
7、ベルトルッチ監督のフィルモグラフィーの中での位置づけ
ベルナルド・ベルトルッチ監督は、『1900年』以前にも『暗殺の森』や『ラストタンゴ・イン・パリ』といった話題作を手がけ、すでに国際的な評価を得ていました。その後、1987年には『ラストエンペラー』でアカデミー賞監督賞を含む複数部門を受賞し、名実ともに世界的な巨匠としての地位を確立しています。
『1900年』は、こうした監督のキャリアの中でも、個人と歴史を同じ画面の中で並べて描くという作風がもっとも大きなスケールで実践された作品の一つといえます。『ラストエンペラー』が一人の皇帝の生涯を通して中国近代史を描いたのに対し、『1900年』は二人の対照的な人物を通して、イタリアという国そのものの20世紀前半の歩みを描き出そうとした点に特徴があります。監督自身の出身地に近い農村を舞台に選んでいることからも、本作にかける個人的な思い入れの強さがうかがえます。
8、まとめ:スケールの大きさを体感できる一作
『1900年』は、上映時間、製作費、動員されたエキストラの数のいずれをとっても、1970年代の映画史の中でも屈指のスケールを誇る作品です。ロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデューという二人の名優の共演、そしてベルナルド・ベルトルッチ監督ならではの壮大な構成力によって、単なる大作にとどまらない独特の存在感を持つ映画となっています。
長尺であるがゆえに気軽に鑑賞するのは難しい作品ではありますが、時間をかけてじっくり向き合うことで、その世界観の厚みを存分に味わうことができる一本といえるでしょう。1970年代のヨーロッパ映画ならではのスケール感を体感してみたいという方には、ぜひ一度手に取っていただきたい作品です。
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