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「告白」というタイトルから、2010年公開の日本映画を思い浮かべる方は多いと思います。ですが実は1981年にも、同じ邦題を持つアメリカ映画が存在します。原題は「True Confessions」、ロバート・デ・ニーロとロバート・デュヴァルが兄弟役で共演したネオ・ノワール作品です。日本では1982年2月20日に劇場公開され、その後テレビ放送でも紹介されました。本記事では、この1981年版『告白』について、原作や製作背景、キャスト、日本公開時の情報などを公的な資料をもとに整理してご紹介します。物語の核心には触れず、作品の魅力や成り立ちを中心にお伝えします。
1、作品の基本情報
『告白』(原題:True Confessions)は、1981年に製作されたアメリカ合衆国のネオ・ノワール映画です。上映時間は107分で、配給はユナイト映画が担当しました。日本での劇場公開日は1982年2月20日です。ジャンルとしては、犯罪捜査と人間ドラマを組み合わせたネオ・ノワールに分類され、実際に起きたブラック・ダリア事件をモチーフにした要素も盛り込まれています。監督はウール・グロスバード監督が務め、製作はアーウィン・ウィンクラー氏とロバート・チャートフ氏という、映画業界でも実績のある製作コンビが担当しました。
派手なアクションよりも、登場人物の心理や人間関係の機微を丁寧に描くタイプの作品で、1940年代から1960年代にかけてのロサンゼルスを舞台に、家族や信仰、権力構造といったテーマを扱っています。公開から40年以上が経過した現在でも、デ・ニーロとデュヴァルという名優2人の演技を楽しめる作品として名前が挙がることがあります。
なお「告白」というタイトルの映画は他にも存在しており、日本国内では2010年公開の中島哲也監督作品の方が知られているかもしれません。両者はまったく別の作品で、ストーリーや製作国、時代背景も異なりますので、探す際にはタイトルだけでなく製作年や原題も合わせて確認するのがおすすめです。
2、原作小説と脚本
本作の原作は、ジョン・グレゴリー・ダンが1977年に発表した小説「True Confessions」です。ダンはアメリカのジャーナリスト兼作家で、実在したブラック・ダリア事件をモチーフにしながら、警察官と聖職者という異なる立場に生きる兄弟の物語を書き上げました。
映画の脚本は、原作者のダン自身と、その妻であるジョーン・ディディオンが共同で手掛けています。ディディオンはエッセイストや小説家として知られる人物で、夫婦で脚色にあたったという点も本作の特徴のひとつです。原作の持つ重厚な人間ドラマの側面を、映画という形式に落とし込む作業を、原作者夫妻自らが担当したことになります。
ダンとディディオンは、それぞれ単独でも評価の高い著作を残している書き手として知られており、2人が手を組んだ脚本には、単なる犯罪ドラマにとどまらない文学的な奥行きが感じられます。小説の刊行から映画化までの期間は数年にわたり、原作の評判を受けて企画が動き出した経緯があります。
3、ウール・グロスバード監督について
監督を務めたウール・グロスバード監督は、ベルギー出身で後にアメリカで活動した映画・舞台演出家です。本作以前には、ダスティン・ホフマン主演の「ストレートタイム」(1978年)を手掛けており、役者の内面的な演技を引き出す作風で評価されていました。
『告白』でも、派手な演出よりも俳優同士のやり取りや間合いを重視した演出が特徴です。デ・ニーロとデュヴァルという実力派俳優を主演に据えたことで、兄弟としての距離感や、それぞれが背負う立場の違いが、静かながらも緊張感のある形で描かれています。舞台演出出身らしい、会話劇としての完成度の高さも本作の見どころです。
4、豪華な出演者陣
主演の2人は、聖職者デズモンド・スペラシー役をロバート・デ・ニーロ、その兄で警察官のトム・スペラシー役をロバート・デュヴァルが演じています。当時すでに「タクシードライバー」や「ゴッドファーザー」シリーズなどで実績を積んでいた2人の共演は、公開当時から注目を集めました。
脇を固めるキャストも豪華です。建設業界の実力者ジャック・アムステルダムをチャールズ・ダーニングが、頑固な老司祭シェイマス・ファーゴをバージェス・メレディスが演じています。ほかにも、やり手弁護士ダン役のエド・フランダース、トムと旧知の間柄であるブレンダ役のローズ・グレゴリオ、枢機卿ダナハー役のシリル・キューザック、トムの相棒クロティ役のケネス・マクミランなど、実力派の俳優たちが物語に厚みを加えています。
5、物語の舞台設定(ネタバレなし)
物語は、1962年にメキシコ国境近くの教会を訪ねてきたトムが、そこで司祭を務める弟のデズモンドと数年ぶりに再会する場面から始まります。2人の間には、忘れることのできないある出来事の記憶があり、物語はそこから1948年のロサンゼルスへと時間を遡っていきます。
当時のロサンゼルスは、アイリッシュ系カトリック・コミュニティの結びつきが強く、教会と地域社会、そして警察組織が複雑に絡み合う土地でした。警察官として現実的な仕事に向き合うトムと、教会内で将来を嘱望される立場にあるデズモンドという、対照的な道を歩む兄弟の姿を軸に、信仰と権力、家族の絆といったテーマが描かれていきます。捜査の具体的な展開や結末については、この記事では触れずにおきます。
6、撮影・音楽・美術スタッフ
映像面を支えたのは、撮影監督オーウェン・ロイズマン氏です。「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」などの撮影でも知られる人物で、本作でも1940年代から60年代のロサンゼルスの空気感を丁寧に描き出しています。
音楽を担当したのは、フランス出身の作曲家ジョルジュ・ドルリュー氏です。数々の名作映画音楽を手掛けてきた作曲家で、本作でも物語の情感を静かに支える音楽を提供しています。美術はスティーブン・グライムス氏、メイクアップはマイケル・ウェストモア氏、編集はリンジー・クリングマン氏が担当しました。製作のアーウィン・ウィンクラー氏とロバート・チャートフ氏は、「ロッキー」シリーズなどの製作でも知られるコンビで、本作でも骨太な人間ドラマを支える体制を整えています。
7、日本公開とテレビ放送
日本では1982年2月20日に劇場公開されました。字幕は戸田奈津子さんが担当しています。劇場公開後、1988年2月25日にはTBS系「木曜ロードショー」でテレビ放送されており、その際の日本語吹替では、デズモンド役のロバート・デ・ニーロを谷口節さん、トム役のロバート・デュヴァルを池田勝さんが担当しました。ジャック・アムステルダム役のチャールズ・ダーニングは石森達幸さん、シェイマス役のバージェス・メレディスは小野丈夫さんが吹き替えを務めています。
劇場公開とテレビ放送の両方を通じて、日本でも一定の知名度を持つ作品となりました。デ・ニーロとデュヴァルという名優の共演作として、映画ファンの間で語られることがある一本です。地上波での放送は、当時まだレンタルビデオや配信サービスが今ほど普及していなかった時代において、多くの視聴者が本作に触れるきっかけになったと考えられます。
8、他の主要作品との位置づけ
本作が製作された1981年前後、ロバート・デ・ニーロは「タクシードライバー」(1976年)や「ディア・ハンター」(1978年)、「レイジング・ブル」(1980年)などで評価を高めていた時期にあたります。一方のロバート・デュヴァルも「ゴッドファーザー」シリーズなどでの実績を持つ俳優であり、2人が兄弟役として同じ画面に立つこと自体が、当時の映画ファンにとって見どころのひとつでした。
製作を手掛けたアーウィン・ウィンクラー氏とロバート・チャートフ氏のコンビは、「ロッキー」シリーズの製作でも知られており、本作でもスター俳優の演技を丁寧に引き立てる製作体制を組んでいたことがうかがえます。派手な話題性よりも、俳優とスタッフの実力で勝負した一本として位置づけることができそうです。
9、まとめ
1981年の映画『告白』は、実在の事件をモチーフにしながら、警察官と聖職者という異なる道を歩む兄弟の関係を静かに描いたネオ・ノワール作品です。ロバート・デ・ニーロとロバート・デュヴァルという名優の共演に加え、原作者夫妻による脚本、ウール・グロスバード監督の丁寧な演出、オーウェン・ロイズマン氏の撮影、ジョルジュ・ドルリュー氏の音楽など、当時の実力派スタッフが集まって作り上げられた作品です。
派手さはないものの、人間関係の機微や当時のロサンゼルスの空気感をじっくり味わいたい方には向いている一本だと言えます。配信サービスやレンタル店などで見かけた際は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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