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1992年に公開された『ナイト・アンド・ザ・シティ』は、ロバート・デ・ニーロとジェシカ・ラングという名優2人が共演したことで話題になった作品です。1938年発表の同名小説と、1950年のフィルム・ノワール『街の野獣』を原作に持ちながら、舞台を公開当時のニューヨークへ置き換えたリメイクとして制作されました。原作小説から半世紀以上の時を経て、都市も時代も異なる形で再構築された本作は、単なるリメイクにとどまらない独自の魅力を備えています。この記事では、あらすじやネタバレには触れず、監督や制作背景、キャスト、公開当時の評価など、作品の基本情報を公的な資料をもとに整理してご紹介します。
1.作品概要
『ナイト・アンド・ザ・シティ』は1992年に20世紀フォックスの配給でアメリカ合衆国にて公開された、犯罪ドラマ映画です。上映時間は105分で、クライム・コメディドラマ、あるいはネオ・ノワールに分類されています。アメリカでの公開日は1992年10月16日、日本での劇場公開日は1993年2月13日で、配給は松竹富士が担当しました。監督はアーウィン・ウィンクラー、脚本はリチャード・プライスです。主演はロバート・デ・ニーロとジェシカ・ラングで、2人がスクリーンで共演した作品として、公開当時から注目を集めました。制作費は1800万ドルで、都会の片隅で夢を追う男の姿を描いた人間ドラマとして紹介されています。
2.原作とリメイクとしての成り立ち
本作は、イギリス出身の作家ジェラルド・カーシュが1938年に発表した小説『Night and the City』を原作としています。同じ原作は1950年にもジュールズ・ダッシン監督によって映画化されており、日本では『街の野獣』の邦題で知られるフィルム・ノワールの古典です。1950年版は、リチャード・ウィドマークとジーン・ティアニーが主演を務め、ロンドンを舞台に描かれた作品でした。なお、ダッシン監督は同作をロンドンで撮影していた最中に、いわゆる赤狩りによってブラックリストに載せられ、ハリウッドを追われる立場となったことでも知られています。一方1992年版は、ウィンクラー監督の手によって、物語の舞台が公開当時のニューヨークへと置き換えられました。原作小説からおよそ半世紀を経て、都市も時代も異なる形で再構築された点が、本作を語るうえで欠かせない特徴です。
3.監督アーウィン・ウィンクラーと製作体制
アーウィン・ウィンクラーは、『ロッキー』シリーズや『レイジング・ブル』、『グッドフェローズ』などの製作者として長年ハリウッドの第一線で活躍してきた映画人で、1991年の『真実の瞬間』で監督デビューを果たしました。『ナイト・アンド・ザ・シティ』はウィンクラー監督にとって2作目の監督作にあたります。製作にはジェーン・ローゼンタールが名を連ねており、製作会社のひとつであるトライベッカ・プロダクションズは、主演のロバート・デ・ニーロ自身が設立に関わった企画・製作会社です。デ・ニーロが単なる主演俳優としてだけでなく、作品の成立そのものに深く関わっていたことがうかがえます。また製作総指揮には、ハリー・J・アフランドとメリー・ジェーン・アフランドの名も挙げられています。
4.キャストと出演者
主人公ハリー・フェイビアンを演じたのはロバート・デ・ニーロ、その恋人ヘレンを演じたのはジェシカ・ラングです。共演には、コメディアン出身でボクシング・プロモーターの役を演じたアラン・キング、名優ジャック・ウォーデン、クリフ・ゴーマン、イーライ・ウォラック、バリー・プリマスといった実力派俳優たちが名を連ねています。また、司会者として知られるレジス・フィルビンが本人役でカメオ出演していることも、当時のアメリカのテレビ文化を知るファンには興味深いポイントです。さらに、脚本を手がけたリチャード・プライス自身が劇中で医師役として顔を出しているほか、俳優ジーン・カークウッドや、のちにドラマ『プラクティス』などで知られるマイケル・バダルコも出演しており、キャストの層の厚さがうかがえます。
5.スタッフ陣の顔ぶれ
撮影を担当したのは、『羊たちの沈黙』で知られる撮影監督タク・フジモトです。音楽は『プリティ・ウーマン』などを手がけたジェームズ・ニュートン・ハワードが担当しました。脚本のリチャード・プライスは『シー・オブ・ラブ』の脚本家としても知られています。編集はデビッド・ブレナーが務め、美術はピーター・ラーキンが担当しました。衣装デザインはリチャード・ブルーノが手がけています。それぞれのジャンルで実績のあるスタッフが集結した布陣は、本作が単なる娯楽作にとどまらない、力の入った製作だったことを示しています。
6.物語の舞台となる世界観
本作の舞台は、バー「ボクサーズ」を中心とした公開当時のニューヨークです。主人公ハリーは、ボクシング興行の世界に足を踏み入れる冴えない弁護士として描かれています。原作小説や1950年版では、プロレスの興行の世界が題材として扱われていましたが、1992年版では題材がボクシングへと変更されました。これは、1990年代初頭当時のアメリカにおいて、プロレスがすでに子ども向けの娯楽としてのイメージが強くなっていた事情が背景にあるとされています。派手なアクションよりも、都会の片隅で生きる人々の姿に重点が置かれた人間ドラマとして位置づけられている点も、本作の見どころのひとつです。
7.公開当時の評価と興行成績
本作は1992年のニューヨーク映画祭のクロージング作品としても上映されました。批評家からの評価は分かれ、映画レビューサイトRotten Tomatoesでは14件のレビューのうち肯定的評価は57%、平均点は10点満点中5.7点となっています。ニューヨーク・タイムズのジャネット・マスリン氏やワシントン・ポストのデソン・ハウ氏、ニューズウィーク誌のデイヴィッド・アンセン氏はデ・ニーロの演技を高く評価した一方、批評家のロジャー・エバート氏やエンターテインメント・ウィークリー誌のオーウェン・グレイバーマン氏は否定的な見解を示すなど、デ・ニーロの演技に対する評価は特に割れる結果となりました。なお、アラン・キングの演技についてはエバート氏とハウ氏の双方が高く評価しています。興行面では、制作費1800万ドルに対して北米興行収入は620万ドルにとどまり、興行的には厳しい結果となりました。
8.まとめ
『ナイト・アンド・ザ・シティ』は、フィルム・ノワールの古典を1990年代のニューヨークへと置き換えた意欲的なリメイク作品です。ロバート・デ・ニーロとジェシカ・ラングという実力派俳優の共演に加え、タク・フジモトやジェームズ・ニュートン・ハワードといった一流スタッフが結集している点も見逃せません。さらに、製作者としても数々の名作を手がけてきたアーウィン・ウィンクラー自身が監督を務め、デ・ニーロの製作会社が制作に関わっているという背景も、本作ならではの見どころといえます。公開当時の評価は賛否が分かれたものの、俳優陣の演技や人間ドラマとしての厚みに注目しながら鑑賞すると、また違った魅力を発見できる作品です。1950年版『街の野獣』と見比べてみるのもおすすめです。気になった方は、配信サービスなどで実際に鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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