【バタリアン2(1988)】前作俳優が別キャラで再登場!ゾンビコメディ続編の異色の構造を徹底解説

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※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

1987年製作・1988年公開のアメリカ映画『バタリアン2』(原題:Return of the Living Dead Part II)は、1985年にホラーコメディ映画の金字塔となった『バタリアン』の続編作品です。監督・脚本は前作のダン・オバノンに代わり、ケン・ウィーダーホーンが担当。前作に出演したジェームズ・カレンとトム・マシューズが、前作とは異なるキャラクターとして再登場するという独特の構造で、「この感覚、前にも経験したような……」というメタ的なユーモアが仕込まれた作品として知られています。また撮影監督として若き日のロバート・エルスウィットが起用されており、後に映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などで世界的な評価を得る名カメラマンの初期キャリアを垣間見ることができます。本記事では作品概要・あらすじ・キャスト・制作背景・評価まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。


作品概要:基本情報

『バタリアン2』(原題:Return of the Living Dead Part II)は、1987年に製作されたアメリカのホラーコメディ映画です。「バタリアン(Return of the Living Dead)」シリーズの第2作にあたります。

監督・脚本はケン・ウィーダーホーン、製作は前作に引き続きトム・フォックス、撮影はロバート・エルスウィット、編集はチャールズ・ボーンスタイン、音楽はJ・ピーター・ロビンソン、特殊メイクは前作と同じくケニー・マイヤーズが担当しています。配給はロリマー・モーション・ピクチャーズです。なお、日本での劇場公開は1987年12月19日(東宝東和配給)で、アメリカでの一般公開(1988年1月15日)よりも早い公開となっています。

項目内容
邦題バタリアン2
原題Return of the Living Dead Part II
製作年1987年
製作国アメリカ
監督・脚本ケン・ウィーダーホーン
撮影ロバート・エルスウィット
音楽J・ピーター・ロビンソン
特殊メイクケニー・マイヤーズ
製作費約600〜620万ドル
上映時間89分
配給(日本)東宝東和
配給(米国)ロリマー・モーション・ピクチャーズ
日本公開1987年12月19日
米国公開1988年1月15日
米国興行収入約920万ドル

前作との関係:同じ世界観、異なるキャラクター

本作は前作の直接の続きではありません。同一の世界観(245トライオキシンというガスが死体を蘇らせる)を共有しつつも、前作の登場人物とは異なる新たなキャラクターたちが新たな事件に巻き込まれるという構造となっています。前作とは舞台や登場人物が異なる、いわば「同じ宇宙の別の場所で起きた事件」として描かれています。

ただし特筆すべきは、前作でジェームズ・カレンが演じた倉庫の従業員フランク役とトム・マシューズが演じたフレディ役が、本作では全く異なるキャラクター(エドとジョーイ)として再登場している点です。これは意図的なメタフィクション的演出で、前作を知っている観客向けに「前にも同じような経験をした気がする……」というセルフ・パロディ的なユーモアが盛り込まれています。実際に劇中でも「なんかこの状況、前に経験した気がする」という台詞が登場します。

前作でタールマン(Tar Man)を演じたアラン・トラウトマンも本作に出演しており、ゾンビ映画ファンへのサービスが随所に散りばめられています。


あらすじ:子供が誤って開けたドラムから始まる悪夢

アメリカ軍がトライオキシンガスの入ったドラム缶を積んだトラックを輸送中、ドラム缶の1本が道路から外れ、住宅地のそばの排水溝へと転がり落ちてしまいます。

翌朝、小学生のジェシー(マイケル・ケンワーシー)は近所の不良少年ビリー(トール・ヴァン・リンゲン)とジョニー(ジェイソン・ホーガン)に絡まれ、イニシエーション(入会の儀式)と称して近くの墓地の霊廟へと連れていかれます。逃げようとしたジェシーが排水溝に隠れると、そこで3人はドラム缶を発見してしまいます。ジェシーがドラムに記された電話番号で軍に連絡しようとする間に、不良2人組がドラム缶を開けてしまい、中からトライオキシンガスが放出されます。

ガスは墓地全体に広がり、埋葬された死体たちが次々と蘇り始めます。一方、墓荒らしのエド(ジェームズ・カレン)とジョーイ(トム・マシューズ)も同じ墓地にいたため、ガスに感染してしまいます。

ジェシーの姉ルーシー(マーシャ・ディートライン)と、ケーブルテレビの修理に訪れたトム(ダナ・アッシュブルック)は、走り回るゾンビたちから逃げながら生き残ろうとします。軍のトライオキシン担当将校大佐(ジョナサン・テリー)は前作と同様に事態の収拾を図ろうとしますが、事態は制御不能の域にまで達していきます。クライマックスでは電気を利用した意外な方法でゾンビたちへの反撃が試みられます。


キャスト紹介:前作組と新キャストが共演

マイケル・ケンワーシー(ジェシー・ウィルソン役)

本作の主人公で、12歳の少年ジェシーを演じています。子役でありながら全編を通じて物語を引っ張る実質的な中心人物です。

ジェームズ・カレン(エド役)

前作では従業員のフランクを演じていましたが、本作では墓荒らしのエドという全く異なる役を演じています。前作と同様にトライオキシンガスに感染してパニックに陥る姿が、前作を知るファンへのウィンクとなっています。

トム・マシューズ(ジョーイ役)

前作ではフレディ役でしたが、本作ではエドの相棒・墓荒らしのジョーイを演じています。カレンとのコンビのやり取りは前作を彷彿とさせますが、あくまでも別のキャラクターです。

マーシャ・ディートライン(ルーシー・ウィルソン役)

ジェシーの姉で、本作のヒロイン的存在。弟を守りながらゾンビの群れから生き延びようとします。

ダナ・アッシュブルック(トム・エセックス役)

ルーシーの元同級生でケーブルテレビの修理工。後にドラマ「ツイン・ピークス」への出演で知られるようになる俳優です。

スザンヌ・スナイダー(ブレンダ役)

ジョーイの恋人。

ミッチ・ピレジ(サージェント役)

軍のサージェントを演じています。後に長寿ドラマ「X-ファイル」のスキナー副長官役で世界的に知られるようになる俳優です。

アラン・トラウトマン(タールマン役)

前作でも人気キャラクター「タールマン」を演じた俳優が本作にも登場。ゾンビ映画ファン待望の再登場です。

フォレスト・J・アッカーマン(ハーヴェイ・クレイマー役)

SF映画・ホラー映画の伝説的評論家・編集者として知られるフォレスト・J・アッカーマンが本作にカメオ出演しています。


制作背景:脱ホラー志向だった監督と生まれた続編

本作の制作にはユニークな事情があります。監督のケン・ウィーダーホーンは、自身がホラー映画から離れ別のジャンルに進もうとしていた時期に、ロリマー・プロダクションズから本作の脚本依頼を受けたとされています。依頼を引き受けて製作した結果、ホラーコメディとしての評判が高まったことにより、その後もホラーコメディの仕事が舞い込むことになったと伝えられています。

本作の構造は批評家の間でしばしば議論を呼んでいます。内容が前作をほぼそのままなぞっていること、前作の出演者が別キャラクターとして登場すること、前作と酷似した場面が繰り返されることなどが、続編というよりもリメイクや再話に近いと評されることがあります。一方で、そうしたメタ的・自己言及的な演出を意図的に楽しむ姿勢も見られ、観客によって評価が大きく分かれる作品となっています。

特殊メイクは前作と同じケニー・マイヤーズが担当。一方で、前作の脚本家・監督ダン・オバノンは本作には携わっておらず、前作の出演者ドン・カルファも本作ではオーディションに落ちています。

本作のもうひとつの注目点は、若き日のロバート・エルスウィットが撮影監督を務めていることです。エルスウィットはその後、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ブギーナイツ』(1997年)、『マグノリア』(1999年)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年)などの撮影を担当し、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でアカデミー賞撮影賞を受賞する世界的な撮影監督へと成長しました。本作はそのキャリアの初期にあたる一本です。


評価:前作と比較した賛否両論

本作は前作と比較して評価が分かれています。製作費約600〜620万ドルに対し、米国での興行収入は約920万ドルを記録しており、興行的には製作費を上回る結果となりました。

批評面では、前作の持っていた暗さや過激さが薄れ、よりファミリーフレンドリーなコメディ路線に転換したことへの批判が多くあります。特に、前作で高い評価を受けたジェームズ・カレンとトム・マシューズの起用が、前作と同様の展開をなぞるだけになっているという指摘や、ストーリーの新鮮さの欠如が批評家の間での評価を下げる要因となっています。

一方で、ホラーコメディとしての娯楽性、個性的なゾンビたちのビジュアル、ダナ・アッシュブルックら若手俳優の活躍、そしてメタ的なユーモアを楽しめるという点では肯定的な評価も存在しています。


まとめ:メタ的な構造と独自のコメディが光る異色の続編

『バタリアン2』は、前作の成功を受けて作られた続編でありながら、直接の続きとはならず前作俳優を全く異なるキャラクターとして起用するという、ホラー映画史でも稀な構造を持つ作品です。前作を知っているほどそのメタ的なユーモアが楽しめる仕掛けは、賛否両論を呼びつつも、シリーズファンの間でカルト的な人気を保っています。

若き日のロバート・エルスウィットの撮影、後に「X-ファイル」で知られるミッチ・ピレジの出演など、映画ファンにとって発見の多い一本でもあります。前作『バタリアン』を観た後に本作を続けて鑑賞すると、その独特の魅力をより深く楽しむことができます。現在はBlu-ray・DVDのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。