【レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳】ジャッキー・チェン主演の1976年香港映画を徹底解説

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※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

ブルース・リー主演の名作『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)の直系続編として制作された1976年の香港映画『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』。主演を務めたのは、当時22歳の若きジャッキー・チェンです。本作はジャッキーが”第二のブルース・リー”として世に送り出された、彼のフィルモグラフィーを語る上で欠かすことのできない歴史的作品です。あらすじ・キャスト・制作背景・日本での公開事情まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。


1.作品概要:基本情報

『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』(原題:新精武門、英題:NEW FIST OF FURY)は、1976年製作の香港映画です。主演はジャッキー・チェン。

監督・脚本・製作総指揮はロー・ウェイ、脚本にはパン・レイも参加しており、武術指導はハン・インチェが担当しました。オリジナル版の上映時間は114分で、日本版DVDでは82分に編集されています。

本作はロー・ウェイが当時所属していたゴールデン・ハーベストを離れ、自身の映画会社「羅維影業公司」を台湾に設立して製作した作品です。ゴールデン・ハーベスト社の許諾を得ずにロー・ウェイの独断で製作されているため、かつては続編としての扱いが微妙なものでした。しかし1993年以降は両作ともスター社に版権が移行し、現在は正式に続編として扱われています。


2.あらすじ:日本統治下の台湾を舞台に

物語は、前作『ドラゴン怒りの鉄拳』でブルース・リーが演じた主人公チェン・チャンの死後から始まります。日本人が精武館の残党を追い込んでいる状況の中、台湾へ渡った残党一行ですが、チェンの元恋人で精武館の娘レイは到着早々、スリのアロンにチェンの形見のヌンチャクを盗まれてしまいます。

根は素直で正義感の強いロン(アロン)は、台湾の武人を眼の敵にして横暴な振る舞いを続ける大和門道場の日本人たちに反感を抱き、精武門に入門します。厳しい修行に励んで幻の武術「迷踪拳」を修得し、大和門道場との全面対決に立ち上がります。

しかしラストシーンは、日本人によって精武館のメンバー全員が惨殺されるという後味の悪いバッドエンドとなっています。前作の衝撃的な結末へのオマージュとも取れる重い幕切れです。


3. キャスト紹介

主要キャストは以下の通りです。ノラ・ミャオをはじめ、前作『ドラゴン怒りの鉄拳』から引き続き登場する俳優も多く、続編としての連続性が意識されています。

ロン(アロン)役にジャッキー・チェン(日本語吹替:石丸博也)、ミウ・ライイー役にノラ・ミャオ(吹替:山崎美貴)、岡村先生役にチェン・シン(吹替:池田勝)、チンじいさん役にハン・スー(吹替:塚田正昭)、ロンの母役にリウ・ミン(吹替:渡辺美佐)、ハン先生役にハン・イェンチェ(吹替:田原アルノ)が出演しています。

ジャッキーが演じる主人公ロンは、はじめは武術を嫌うスリの若者です。精武門に入門して迷踪拳を修得し成長していく過程が物語の軸となっており、コミカルな場面と真剣なアクションが織り交ざった作りになっています。


4. 制作背景:ジャッキーはオーストラリアにいた

本作の制作背景には、ジャッキー・チェン自身の興味深いエピソードがあります。

ジャッキーは1974年に『ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門』に出演した後、一時期映画界から退いて両親が住むオーストラリアで左官やコックとして生活していました。一方、『ドラゴン怒りの鉄拳』を監督しブルース・リーを一躍スターダムに押し上げたロー・ウェイは、当時所属していたゴールデン・ハーベストの社長レイモンド・チョウと対立して会社を飛び出し、自身の映画会社を立ち上げ有望な俳優を発掘している最中でした。そんな時、ロー・ウェイ夫人の許麗華がたまたま『ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門』を観て、夫にジャッキーの起用を薦めたといいます。国際電話で香港に呼び戻されたジャッキーは、10本の映画出演契約を結び、本作で再デビューを果たすこととなりました。

この作品でジャッキーは「成龍」と芸名を改め、第二のブルース・リーとして売り出されました。スターへの道はまさにここから始まったといえます。


5. ブルース・リーとの連続性

本作はブルース・リー主演の『ドラゴン怒りの鉄拳』の直系続編という趣旨で制作されており、ノラ・ミャオほか前作の登場人物たちも登場します。ジャッキーは前作でリーが日本人の用心棒戦で使った「迷綜手」を使ったり、三節棍を使用するなど、リーをイメージした戦いを展開しました。ただし、ヌンチャクを使う場面では頭にぶつけたり、下手で皆に笑われたりと、リーの物真似はあえて避けるように演出されています。

この演出からは、ブルース・リーの後継者として担ぎ出されながらも、ジャッキー独自のユーモアある個性を早くも打ち出そうとする意図が読み取れます。


6. 日本での公開事情

日本では劇場未公開となりました。その後、『新・怒りの鉄拳』の邦題でテレビ放送された後、『レッド・ドラゴン/新・精武門』の邦題でビデオ化され、さらに『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』の邦題でDVD化されました。

当時ジャッキー映画が頻繁に地上波ゴールデンタイムで放送されていましたが、本作は内容や劇場未公開であることを理由に視聴率が期待できないとされ、深夜枠での放送となりました。

現在はBlu-rayも発売されており、予告編集・フォトギャラリー・「もうひとつのオープニング」などの特典映像も収録されています。


7. まとめ:この作品の歴史的意義

『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』は、単なる続編映画にとどまらない歴史的意義を持つ作品です。ブルース・リーという唯一無二の伝説のあとを継ぐ形で世に出たジャッキー・チェンが、独自のユーモアとアクションで自らの個性を刻み始めた原点の一つといえます。

アクションスターとしての本格的なブレイクは翌年以降の『蛇拳』『酔拳』を待つことになりますが、本作はその前夜に位置する重要作です。カンフー映画史・香港映画史に関心をお持ちの方、そしてジャッキー・チェンのファンの方には、ぜひご覧いただきたい一作です。Blu-ray・DVDで現在も鑑賞することができますので、この機会にぜひお手に取ってみてください。


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