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2015年に製作・公開されたアメリカ映画『マギー』(原題:Maggie)は、アーノルド・シュワルツェネッガーが製作・主演を兼任した、これまでのシュワルツェネッガー作品とはまったく異なる異色のホラー・ヒューマンドラマです。ゾンビ化していく16歳の娘を見守る父親の苦悩と愛情を描いた本作は、アクションを封印したシュワルツェネッガーの静かな演技が高く評価されています。共演は『リトル・ミス・サンシャイン』『ゾンビランド』のアビゲイル・ブレスリンと、ジョエリー・リチャードソン。監督はこれが長編デビュー作となるヘンリー・ホブソンです。本記事では作品概要・あらすじ・キャスト・制作背景・評価まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『マギー』(原題:Maggie)は、2015年にアメリカで製作されたポスト・アポカリプス系ホラー・ドラマ映画です。ジャンルはホラーに分類されますが、内容はゾンビ映画の定番であるアクションや恐怖描写よりも、家族の絆と喪失を丁寧に描いたヒューマンドラマに重きが置かれています。
監督はヘンリー・ホブソン、脚本はジョン・スコット三世が担当。撮影はルーカス・エットリン、編集はジェーン・リッツォ、音楽はデヴィッド・ウィンゴが手がけました。製作にはシュワルツェネッガー本人も名を連ねています。2015年4月22日にトライベッカ映画祭でワールドプレミアが行われ、北米では同年5月8日に公開されました。日本ではポニーキャニオン配給のもと、2016年2月6日にロードショー公開されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Maggie |
| 製作年 | 2015年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ヘンリー・ホブソン |
| 脚本 | ジョン・スコット三世 |
| 音楽 | デヴィッド・ウィンゴ |
| 撮影 | ルーカス・エットリン |
| 上映時間 | 95分 |
| 日本公開 | 2016年2月6日 |
| 日本配給 | ポニーキャニオン |
あらすじ:ゾンビ化する娘を見守る父親の苦悩
ゾンビ化ウイルスが世界中に蔓延し、社会が崩壊の危機にさらされている近未来のアメリカ。農業を営む父親ウェイド・ヴォーゲル(アーノルド・シュワルツェネッガー)の16歳の娘マギー(アビゲイル・ブレスリン)は、ウイルスに感染して隔離病棟に収容されてしまいます。
ウェイドは隔離病棟へ乗り込んでマギーを連れ戻し、義理の母キャロライン(ジョエリー・リチャードソン)や幼い異母きょうだいが待つ農場の家へと帰ります。しかし、感染によるゾンビ化は6〜8週間をかけて緩やかに進行するものであり、マギーの体は日を追うごとに蝕まれていきます。血管が黒ずみ、感覚が変化し、人間としての理性が少しずつ失われていく娘の姿を、父ウェイドはただそばで見守ることしかできません。
地元警察はマギーの状態が一定の段階に達したら強制的に隔離施設へ連行しようとします。ウェイドはその介入を拒みながらも、いずれ必ず訪れる「その時」に向けて、父親としていかに向き合うかという究極の決断を迫られていきます。
キャスト紹介
アーノルド・シュワルツェネッガー(ウェイド・ヴォーゲル役)
農場を営む平凡な父親で、本作の主人公。感染した娘を手放すまいとする父の愛情と、迫り来る現実への無力感を、得意のアクションを一切封印した静かな演技で表現しています。製作も兼任しており、本作への強い思い入れがうかがえます。日本語吹替は長年シュワルツェネッガーの声を担当してきた玄田哲章が務めています。
アビゲイル・ブレスリン(マギー・ヴォーゲル役)
ウェイドの娘で、本作の実質的な主役。『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、『ゾンビランド』(2009年)にも出演した実力派女優です。徐々にゾンビへと変容していく少女の恐怖・悲しみ・葛藤を繊細に演じており、その演技は本作の最大の見どころのひとつとなっています。
ジョエリー・リチャードソン(キャロライン・ヴォーゲル役)
マギーにとって義理の母にあたるウェイドの妻。マギーへの愛情と、幼い自分たちの子を守らなければならないという現実の間で揺れる複雑な心情を演じています。
このほかJ・D・エヴァーモア、ジョディ・ムーア、ブライス・ロメロ、レーデン・グリア、デニース・ウィリアムソンらが脇を固めています。
制作背景:脚本のブラックリスト入りからシュワルツェネッガーへ
本作の誕生には、脚本家ジョン・スコット三世の一本の脚本がありました。この脚本は2010年のPAGEインターナショナル・スクリーンライティング・アワードのスリラー/ホラー部門でゴールド賞を受賞し、翌年にはハリウッドで「最も注目を集めた未映画化脚本」を選ぶブラックリストにも選出されています。こうして業界の注目を集めた脚本が、監督ヘンリー・ホブソンの目に留まることとなりました。
当初、マギー役にはクロエ・グレース・モレッツが起用される予定でしたが、スケジュールの都合で降板。その後アビゲイル・ブレスリンが抜擢されました。
監督のヘンリー・ホブソンはイギリス出身のグラフィック・デザイナーで、映画『シャーロック・ホームズ』(2009年)や『ロビン・フッド』(2010年)のタイトルカードデザイン、ゲーム『ラスト・オブ・アス』(2013年)のビジュアルデザイン、第86・87回アカデミー賞のタイトルカードなどを手がけてきた人物です。本作が長編映画の監督デビュー作となります。
ホブソンがシュワルツェネッガーをキャスティングした理由として、「父親像の象徴」として機能するわかりやすさを挙げています。シュワルツェネッガーが持つ「守る者」としての既成イメージを逆手に取ることで、説明的なシーンを排してすぐに物語の核心へと入れる演出上の狙いがありました。
公開と評価:インディペンデント映画としての挑戦
本作はインディペンデント映画として製作され、2015年4月22日にニューヨークのトライベッカ映画祭でワールドプレミア上映されました。北米での興行収入は約160万ドルにとどまりましたが、これはシュワルツェネッガーのフィルモグラフィーの中でも最も低予算の作品のひとつであったことを踏まえると、作品の目的が興行規模ではなく演技・表現の挑戦にあったことは明らかです。
批評面では、シュワルツェネッガーのこれまでとはまったく異なる抑制された演技と、アビゲイル・ブレスリンの繊細な感情表現に対して高い評価が集まりました。ゾンビ映画というジャンルにおいてアクションや恐怖演出に頼らず、家族の喪失という普遍的なテーマを正面から描いた姿勢は、多くの映画評論家から評価されています。
まとめ:シュワルツェネッガーの俳優としての新たな境地
『マギー』は、これまで「最強のアクションヒーロー」として知られてきたシュワルツェネッガーが、俳優として真摯に向き合ったキャリアの異色作です。銃も筋肉も使わず、ただ娘を愛する一人の父親として画面に佇む姿は、従来のシュワルツェネッガー像を大きく塗り替えるものでした。
低予算のインディペンデント映画でありながら、脚本の完成度・監督の演出・主演二人の演技が高い水準でかみ合い、ゾンビ映画の新たな可能性を切り開いた一作として今も語り継がれています。シュワルツェネッガーのファンはもちろん、ヒューマンドラマや家族映画がお好きな方にも広くおすすめできる作品です。現在はDVD・Blu-rayのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞することができます。
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