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2017年に公開されたアメリカ映画『アフターマス』(原題:Aftermath)は、アーノルド・シュワルツェネッガーが得意のアクションを完全に封印し、実際に起きた航空機衝突事故とその後に発生した殺人事件を題材にしたシリアスなヒューマン・サスペンス映画です。共演にはスクート・マクネイリー、マギー・グレイス、マーティン・ドノヴァン、ハンナ・ウェアが名を連ねています。監督はイギリス出身のエリオット・レスター。アクションを一切排した静かな怒りと悲しみの物語として、シュワルツェネッガーの俳優としての新たな一面が刻まれた作品です。本記事では作品概要・実話の背景・あらすじ・キャスト・制作背景・評価まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『アフターマス』(原題:Aftermath)は、2017年にアメリカで製作・公開されたサスペンス・ドラマ映画です。当初は『478』という仮タイトルで開発が進められており、2015年6月にシュワルツェネッガーの主演が発表されました。
監督はエリオット・レスター(『ブリッツ』)、脚本はハビエル・グジョン、製作はスコット・フランクリン、ランドール・エメット、ダーレン・アロノフスキーらが担当しています。なお製作にはシュワルツェネッガー本人も名を連ねています。撮影はアメリカ・オハイオ州コロンバスを中心に行われ、2016年1月に撮影が完了しました。北米では2017年4月7日にビデオオンデマンド形式で公開され、日本ではファインフィルムズ配給のもと2017年9月16日にロードショー公開されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Aftermath |
| 旧仮題 | 478 |
| 製作年 | 2016年(公開2017年) |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | エリオット・レスター |
| 脚本 | ハビエル・グジョン |
| 音楽 | マーク・トッド |
| 撮影 | ピーター・フェルメール |
| 製作費 | 約1,050万ドル |
| 上映時間 | 94分 |
| レーティング | PG12 |
| 日本公開 | 2017年9月16日 |
| 日本配給 | ファインフィルムズ |
実話の背景:2002年ユーバーリンゲン空中衝突事故
本作を語る上で欠かせないのが、物語の根底にある実際の事件です。
2002年7月1日、ドイツ南部の町ユーバーリンゲン上空で、ロシアのバシキール航空2937便(モスクワ発バルセロナ行き)とDHL航空611便の貨物機が空中で衝突し、71名全員が死亡するという惨事が起きました。事故の原因調査の結果、スイスの航空管制会社スカイガイドの管制官ピーター・ニールセンの管制ミスが一因とされました。
この事故で妻と2人の子供を失ったロシア人建築家のヴィタリー・カロエフは、事故調査の結論と航空会社の対応に納得できず、約2年後の2004年2月24日、管制官ニールセンを自宅で刺殺しました。カロエフはスイスで逮捕・収監され、後に釈放されてロシアに帰国しています。
本作はこの一連の実話をもとに映画化されたものです。登場人物の名前・国籍・事故の詳細などは変更されていますが、遺族の怒りと悲しみ、そして起きてしまった悲劇の構造は実話を忠実になぞっています。
あらすじ:謝罪を求める父と、崩壊する管制官
建設業者として働くローマン・メルニック(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、ニューヨークから帰ってくる妻と妊娠中の娘の到着を空港で今か今かと待ちわびていました。しかしそこへ、2人が乗る旅客機が別の航空機と上空で衝突事故を起こしたという知らせが飛び込んできます。乗客乗員に生存者はなく、ローマンは一瞬にして家族のすべてを失います。
一方、事故当日に管制を担当していた航空管制官ジェイコブ・ボナノス(スクート・マクネイリー)は、自分のミスが事故の一因になったという事実を背負いながら生き続けます。職を失い、妻と別れ、社会から孤立し、新たな身分で生活を再建しようとするジェイクですが、深い自責の念から完全に立ち直ることができずにいます。
ローマンは航空会社に対して金銭的な賠償ではなく「謝罪」を求めますが、会社側は事務的な補償のみで誠意ある対応を示しません。そんな中、記者のテッサ(ハンナ・ウェア)の取材を通じてローマンはジェイクの所在を突き止め、ついに接触します。二人の対面が招く結末とは何か。静かに、しかし確実に高まる緊張が物語を最後まで引き締めていきます。
キャスト紹介
アーノルド・シュワルツェネッガー(ローマン・メルニック役)
本作の主人公で、事故で妻と娘を失った建設業者。アクションシーンは皆無であり、シュワルツェネッガーはただ悲しみ、怒り、そして決断する一人の父親・夫として静かな演技を披露しています。マーベル映画プロデューサーとしても知られるダーレン・アロノフスキーが製作に参加した本作に、製作者サイドから強い意欲で参加したとされています。
スクート・マクネイリー(ジェイコブ・”ジェイク”・ボナノス役)
事故当日に管制を担当していた航空管制官。事故後に職を失い、家族も離散し、深い自責と罪悪感の中で生き続ける人物を繊細に演じています。映画『アルゴ』『バットマン vs スーパーマン』などへの出演で知られる演技派俳優です。
マギー・グレイス(クリスティーナ役)
ジェイクの妻で、夫の精神的崩壊に苦しみながらも寄り添おうとする人物。映画『96時間』シリーズで知られる女優です。
マーティン・ドノヴァン(ニール・マクレガー役)
航空会社の担当者で、ローマンへの対応に当たる人物。カナダ出身のベテラン俳優が、組織の論理と個人の良心の間で揺れる役柄を演じています。
ハンナ・ウェア(テッサ・コルベット役)
事故を取材するジャーナリスト。ローマンとジェイクの両者に接触し、物語の展開を促す重要な役割を担っています。
制作背景:製作にダーレン・アロノフスキーが参加
本作の制作背景として特筆すべきは、『レクイエム・フォー・ア・ドリーム』『ブラック・スワン』で知られるアート系の鬼才監督ダーレン・アロノフスキーが製作として参加していることです。アロノフスキーはシュワルツェネッガーとの共同製作として本企画に深く関与しており、大衆向けのアクション映画ではなく、実話の重さを正面から描く作品として開発に取り組みました。
脚本を担当したハビエル・グジョンはスペイン出身の脚本家で、心理的緊張感の高い物語構成を得意としています。監督のエリオット・レスターはイギリス出身で、静かな暴力性と感情の奥深さを描く演出に定評があります。撮影はオハイオ州コロンバスで行われており、現地の実在するドーナツショップがロケ地として使用されるなど、リアリティを重視したアプローチが随所に見られます。
評価と興行成績
製作費約1,050万ドルに対し、全世界興行収入は約81万7,000ドルにとどまりました。北米ではビデオオンデマンドでの公開を中心としたため、劇場収入は限定的なものとなっています。
批評面においては、映画批評集積サイトのロッテン・トマトーズで批評家支持率39%(41件のレビュー)、メタクリティックでは44/100(13件のレビュー)という評価を記録しています。脚本の構成に対する批判的な意見がある一方、シュワルツェネッガーとスクート・マクネイリーの演技については一定の評価が集まりました。アクションを封印した抑制された演出と、実話の重さに正直に向き合った姿勢は、一部の批評家から高く評価されています。
まとめ:実話の重さと向き合ったシュワルツェネッガーの静かな力演
『アフターマス』は、2002年に実際に起きた航空機衝突事故と、その後に発生した悲劇をもとに、遺族の怒り・悲しみ・決断を丁寧に描いた作品です。アクション映画スターのイメージを脱し、一人の無力な父親として感情と向き合うシュワルツェネッガーの演技は、従来のファンにとっても新鮮な驚きを与えてくれます。
興行的には苦戦を強いられた本作ですが、実話に基づくヒューマン・サスペンスとして、また俳優シュワルツェネッガーの可能性を示す作品として、今も静かに語り継がれています。現在はDVD・Blu-rayのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞が可能です。シリアスなドラマや実話映画をお好みの方に、ぜひおすすめしたい一作です。
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