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1989年に公開されたアメリカ映画『ロックアップ』(原題:Lock Up)は、シルヴェスター・スタローンが「ランボー」シリーズの人気絶頂期に主演した刑務所アクション映画です。「ロッキー」「ランボー」のような派手なアクション大作とは一線を画し、冷酷な刑務所長の執拗な嫌がらせに耐え抜く主人公の忍耐と不屈の精神を描いた骨太な作品となっています。監督は『ローリング・サンダー』のジョン・フリン、音楽は「ロッキー」シリーズと同じビル・コンティ。悪役を演じたドナルド・サザーランドの怪演と、後に大物俳優となるトム・サイズモア、ダニー・トレホらの若き日の姿も見どころのひとつです。本記事では作品概要・あらすじ・キャスト・制作背景・興行成績まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『ロックアップ』(原題:Lock Up)は、1989年に製作・公開されたアメリカの刑務所アクション映画です。製作はキャロルコ・ピクチャーズとホワイト・イーグル・ピクチャーズ、配給は北米ではトライスター・ピクチャーズ、日本では東宝東和が担当しています。
監督はジョン・フリン、製作はローレンス・ゴードンとチャールズ・ゴードン、製作総指揮はマイケル・S・グリック、脚本はリチャード・スミス、ジェブ・スチュアート、ヘンリー・ローゼンバウムの共同執筆、撮影はドナルド・E・ソーリン、音楽はビル・コンティが担当しています。北米での公開は1989年8月4日、日本での劇場公開は1989年12月2日です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Lock Up |
| 製作年 | 1989年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ジョン・フリン |
| 脚本 | リチャード・スミス、ジェブ・スチュアート、ヘンリー・ローゼンバウム |
| 音楽 | ビル・コンティ |
| 撮影 | ドナルド・E・ソーリン |
| 製作費 | 約2,400万ドル |
| 上映時間 | 100分 |
| 配給(北米) | トライスター・ピクチャーズ |
| 配給(日本) | 東宝東和 |
| 日本公開 | 1989年12月2日 |
| 北米興行収入 | 約2,210万ドル |
あらすじ:模範囚が悪意の標的にされる地獄の刑務所
ニュージャージー州ホーボーケン出身の腕利きメカニックであるフランク・レオン(シルヴェスター・スタローン)は、比較的軽微な罪で服役中の模範囚です。ノーウッドの低警備刑務所で刑期を6か月後に控え、仮釈放期間中は婚約者のメリッサ(ダーレーン・フリューゲル)と穏やかな日々を過ごしていました。
ある深夜、眠っていたフランクは突然看守たちに連行され、護送車に乗せられて5,000人の凶悪犯が収容される重警備刑務所ゲートウェイに強制移送されます。その黒幕は、ドラムグール所長(ドナルド・サザーランド)でした。
ドラムグールとフランクには深い因縁がありました。以前フランクが服役していたトレッドモア刑務所で、瀕死の恩師に会うために脱獄を図ったフランクは、その際にドラムグールの監督不行き届きを世間に暴露しました。その結果、ドラムグールは左遷させられ、ゲートウェイへの異動を余儀なくされていたのです。恨みを抱いたドラムグールは、フランクを精神的に追い詰めて刑期を延ばすか、あるいはゲートウェイで抹殺することを計画していました。
劣悪な環境と看守たちの執拗な嫌がらせ、悪意ある罠にさらされながらも、フランクは同房の囚人たちと絆を深めながら耐え続けます。しかし婚約者メリッサへの危険が近づいたとき、フランクはついに脱獄を決意します。
キャスト紹介:豪華な悪役陣と後に大物となる若き俳優たち
シルヴェスター・スタローン(フランク・レオン役)
本作の主人公で、模範囚にして腕利きメカニックのフランクを演じています。「ロッキー」「ランボー」のような派手なアクションとは異なり、理不尽な仕打ちに耐え、仲間を守るために戦うという抑制されたキャラクターに挑んでいます。スタローン本人は後年、本作について「観客やキャリアに大きなインパクトを与えるだけの成熟さが制作・演技の両面で十分ではなかった」と振り返っています。
ドナルド・サザーランド(ドラムグール所長役)
本作最大の見どころのひとつが、カナダ出身の名優ドナルド・サザーランドが演じる冷酷な刑務所長ドラムグールです。表面上は穏やかながら、フランクを徹底的に追い詰めようとする陰湿な悪意を静かに体現した演技は、多くの観客から「嫌な役で素晴らしい」と高く評価されています。映画『M★A★S★H』(1970年)や『カッコーの巣の上で』(1975年)などへの出演で世界的に知られる名優が、本作では純粋な悪役に徹しています。
ジョン・エイモス(メイズナー隊長役)
フランクの実直さを認め、最終的にドラムグールの腐敗に気づく刑務所の警備隊長を演じています。テレビドラマ「ルーツ」や映画『カミング・トゥ・アメリカ』(1988年)などへの出演で知られる俳優です。
ダーレーン・フリューゲル(メリッサ役)
フランクの婚約者で、外の世界からフランクを支える存在。その身に危険が迫ることが、フランクの脱獄決意のきっかけとなります。
ソニー・ランダム(チンク役)
フランクに対してドラムグールの手先として敵対する凶悪な囚人。映画『プレデター』(1987年)への出演でも知られる俳優です。
トム・サイズモア(ダラス役)
本作がトム・サイズモアの映画初主演作となります。ひょうきんながらも人情のある囚人ダラスを演じており、フランクとの交流が物語の重要な軸となっています。後に映画『プライベート・ライアン』(1998年)などに出演し、演技派俳優としての地位を確立しました。
フランク・マクレー(エクリプス役)
フランクの仲間となる囚人の一人。映画『48時間』(1982年)などへの出演で知られるベテラン俳優です。
ダニー・トレホ(ギャングメンバー役)
後に『デスペラード』(1995年)や「マチェーテ」シリーズなどで世界的に知られるようになるキャラクター俳優ダニー・トレホが、若き日にギャングの一員として端役出演しています。
制作背景:脚本なしでスタートした異例の製作過程
本作の制作背景には、きわめて興味深いエピソードがあります。ジョン・フリン監督は映画専門誌「ショック・シネマ」のインタビューで、本作の製作過程をこのように語っています。スタローンの出演可能な時間枠があり、プロデューサーのローレンス・ゴードンには刑務所を舞台にした未完成の脚本があった。スタローンが知人の俳優ジェームズ・ウッズを通じてフリン監督の評判を確認し、「良い監督だ、仕事をすべきだ」という言葉を受けて監督が決定した、と証言しています。しかしその時点では「主演スター、テーマ、撮影日程、予算、配給会社はあったが、脚本はまだなかった」という状態でした。
その後、当時ハリウッドで最も注目されていた脚本家のひとりでのちに『ダイ・ハード』を執筆したジェブ・スチュアートが脚本を担当し、撮影と並行しながら脚本が完成していったという異例の製作過程をたどっています。
音楽を担当したビル・コンティは、「ロッキー」シリーズや『勝利への脱出』(1981年)など、スタローン作品の音楽を繰り返し手がけてきた作曲家であり、本作でも緊張感のあるスコアで作品を支えています。
興行成績と評価
製作費約2,400万ドルに対し、全世界興行収入は約2,210万ドルと、製作費を回収できない興行結果となりました。批評面においても、映画批評集積サイトのロッテン・トマトーズで批評家支持率は低調な数値にとどまっており、脚本の粗さや解決の唐突さを指摘する声が多くありました。
スタローン本人が後年「成熟さが十分ではなかった」と認めているように、本作は商業的・批評的の両面で苦戦しましたが、ドナルド・サザーランドの悪役としての存在感、トム・サイズモアやダニー・トレホなど後の大物俳優の若き日の姿、そしてビル・コンティの音楽などに着目すれば、今日的な視点からも十分に楽しめる側面を持った作品です。
なお、スタローンはそれから24年後の2013年に、シュワルツェネッガーとともに再び刑務所映画『大脱出』(Escape Plan)に主演しており、刑務所映画というジャンルとスタローンの関係は本作から長く続くこととなります。
まとめ:スタローンの忍耐とサザーランドの怪演が光る刑務所アクションの異色作
『ロックアップ』は、アクション超大作の印象が強いスタローンが、理不尽な権力への抵抗と仲間との絆というテーマに真剣に向き合った異色の刑務所映画です。ドナルド・サザーランドが演じる冷酷な悪役ドラムグールは本作のハイライトのひとつであり、主役のスタローンと好対照を成す強烈な存在感を放っています。商業的には苦戦した作品ですが、後に大物となるトム・サイズモアやダニー・トレホの若き日の出演、そして「ロッキー」シリーズと同じビル・コンティの音楽など、スタローンのフィルモグラフィーを辿る上では外せない一本です。現在はDVD・各種動画配信サービスで鑑賞可能です。
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