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1991年に公開されたアメリカ映画『オスカー』(原題:Oscar)は、「ロッキー」「ランボー」シリーズで世界的アクションスターとなったシルヴェスター・スタローンが、初めて本格的なスクリューボール・コメディに挑んだ意欲作です。監督は『ブルース・ブラザース』『アニマル・ハウス』のジョン・ランディス。原作はフランスの劇作家クロード・マニエが1958年に発表した舞台劇「オスカー」で、1967年にルイ・ド・フュネス主演でフランス映画化された作品のリメイクでもあります。スタローンのほか、マリサ・トメイ、カーク・ダグラス、ティム・カリー、チャズ・パルミンテリなど豪華な顔ぶれが共演した本作の全貌を、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『オスカー』(原題:Oscar)は、1991年にアメリカで製作・公開されたコメディ映画です。大恐慌時代のニューヨークを舞台に、マフィアのボスが父の遺言に従ってカタギになろうとする一日の大騒動を描いたスクリューボール・コメディです。
監督はジョン・ランディス、製作はレスリー・ベルツバーグ、脚本はジム・マルホランドとマイケル・バリーが担当。原作はクロード・マニエの舞台劇をもとにしています。撮影はマック・アールバーグ、編集はデール・ベルディン、音楽はエルマー・バーンスタインが手がけました。製作会社はタッチストーン・ピクチャーズ(ウォルト・ディズニー・カンパニーのレーベル)で、配給はブエナ・ビスタ・ピクチャーズ・ディストリビューションです。北米での公開は1991年4月26日です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Oscar |
| 製作年 | 1991年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ジョン・ランディス |
| 脚本 | ジム・マルホランド、マイケル・バリー |
| 原作 | クロード・マニエ作舞台劇「オスカー」(1958年) |
| 音楽 | エルマー・バーンスタイン |
| 撮影 | マック・アールバーグ |
| 製作費 | 約3,500万ドル |
| 上映時間 | 109分 |
| 製作会社 | タッチストーン・ピクチャーズ |
| 配給 | ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ・ディストリビューション |
| 北米公開 | 1991年4月26日 |
| 全世界興行収入 | 約2,350万ドル |
原作と前作:フランス発の傑作喜劇がハリウッドへ
本作の原作は、フランスの劇作家クロード・マニエが1958年に発表し、パリのアテネ劇場で初演されたスクリューボール・コメディの舞台劇「オスカー」です。初演ではジャン=ポール・ベルモンドも出演しており、フランスで大きな成功を収めた人気作となりました。
この舞台劇は1967年にルイ・ド・フュネス主演でフランス映画化されており、本作はその再映画化(リメイク)にあたります。ただし舞台設定を1930年代のアメリカ・ニューヨークに移し替え、主人公を実業家からマフィアのボスに変更するなど、大幅にアレンジが施されています。
ジョン・ランディス監督は、1930年代に流行したスクリューボール・コメディの古典的な様式、とりわけ「ひとつの密閉空間の中で短時間に起きる大騒動」という構造をスタイルの手本としたと語っており、本作も舞台の多くをスナップスの屋敷の中に限定し、朝の8時半から正午の数時間の出来事という密度の高い構成で描かれています。
あらすじ:朝から昼まで続くドタバタの大騒動
1931年、大恐慌時代のニューヨーク。かつては警察もライバルのファミリーも一目置くほどのマフィアの大物として知られたアンジェロ・”スナップス”・プロヴォローネ(シルヴェスター・スタローン)は、臨終の床についた父エドゥアルド(カーク・ダグラス)から「犯罪から足を洗い、真っ当なビジネスマンとして家名を再興せよ」という遺言を受け取ります。
その翌朝、スナップスは銀行家たちとの大切な会議を控えた重要な一日を迎えます。会議に備えて屋敷で準備を進めるスナップスのもとに、その朝からひっきりなしに訪問者がやってきます。公認会計士のアンソニー(ヴィンセント・スパーノ)が娘リサ(マリサ・トメイ)との結婚を申し込んできたかと思えば、スナップスに会ったこともないテレサ(エリザベス・バロンデス)が「スナップスを父と偽って結婚したい」と別の男性を連れて現れます。さらに部下が持ち込む大金入りのカバン、次々と入れ替わる「花嫁」「花婿」候補、銀行家との商談が割り込んできたり——。
物事が一向に片付かないまま次から次へと混乱が重なり、午前中の数時間に起きた出来事が加速度的にドタバタ劇へと発展していきます。スナップスは「カタギになる」という目標を諦めることなく、次々と舞い込む難題を強引な度胸と機転でさばいていきます。
キャスト紹介:豪華な顔ぶれが織りなすアンサンブル・コメディ
シルヴェスター・スタローン(アンジェロ・”スナップス”・プロヴォローネ役)
本作の主人公で、カタギになろうともがくマフィアのボスを演じています。アクションを一切封印し、スクリューボール・コメディ特有のテンポとリアクション芸に挑んだ稀有な役柄です。日本語吹替は羽佐間道夫さんが担当しています。
カーク・ダグラス(エドゥアルド・プロヴォローネ役)
スナップスの父親で、冒頭の臨終シーンに登場する重要な役。ハリウッドの伝説的大スターが特別出演として本作に花を添えています。
マリサ・トメイ(リサ・プロヴォローネ役)
スナップスの娘役を演じています。本作は彼女にとって映画出演初期の作品のひとつで、ジョン・ランディス監督は「初日から非常に優れていた。あれが才能というものだ」とトメイの演技を絶賛しています。翌1992年には映画『いとこのビニー』でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、一躍スターダムへと駆け上がりました。日本語吹替は佐々木優子さんが担当しています。
オルネラ・ムーティ(ソフィア・プロヴォローネ役)
スナップスの妻役を演じるイタリア出身の女優。イタリア映画界を代表する女優として知られています。日本語吹替は高島雅羅さんが担当しています。
ティム・カリー(ソーントン・プール医師役)
スナップスを訪れる言語矯正士を演じています。コメディに定評のある個性派俳優で、英語の発音指導を行う奇妙な役を怪演しています。
チャズ・パルミンテリ(コニー役)
スナップスの忠実な部下を演じています。後に映画『ユージュアル・サスペクツ』などで広く知られるようになった俳優です。
ドン・アメチー(クレメント神父役)
映画『コクーン』(1985年)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したベテラン俳優が、スナップスに対峙する神父役として出演しています。
ピーター・リーガート(アルド役)
スナップスの腹心の部下アルドを演じています。日本語吹替は納谷六朗さんが担当しています。
イヴォンヌ・デ・カーロ(ローザ役)
スナップスの叔母役。テレビドラマ「マンスターズ」などへの出演で知られるベテラン女優です。
このほかハリー・シアラー、カートウッド・スミス、エディ・ブラッケンなど豪華な顔ぶれが脇を固めており、カメオ出演としてジョー・ダンテ監督、ジム・エイブラハムズ監督らも登場しています。
制作背景:主役はアル・パチーノ予定だった
本作の制作には、興味深い裏話があります。
ジョン・ランディス監督によれば、主役として最初にオファーしたのはアル・パチーノでした。パチーノへの出演料として200万ドルが提示されていましたが、映画『ディック・トレイシー』(1990年)から300万ドルのオファーを受けたパチーノは、率直にそちらを選ぶと伝えて断ったといいます。そのため主役はスタローンに変更となりました。
なお、撮影中には大規模なセット火災が発生するという不測の事態も起きましたが、衣装・小道具の写真を頼りにスタッフが24時間交代制で作業を行い、予定通りに撮影を再開させたというエピソードも記録されています。最終的な撮影はウエスト・ハリウッドとフロリダ州オーランドのユニバーサル・スタジオで行われ、1990年12月17日に全工程が完了しました。
音楽を担当したエルマー・バーンスタインは、映画『荒野の七人』(1960年)など多数のハリウッド映画で知られる大作曲家で、本作でも1930年代の時代感を彩る音楽を提供しています。
興行成績と評価
製作費約3,500万ドルに対し、全世界興行収入は約2,350万ドルにとどまり、興行的には製作費を下回る厳しい結果となりました。批評面でも賛否が分かれ、第12回ゴールデンラズベリー賞(1992年)では最低主演男優賞(スタローン)、最低監督賞(ランディス監督)、最低助演女優賞(マリサ・トメイ)の3部門にノミネートされています。
一方で「スクリューボール・コメディとして観れば意外に楽しめる」「キャスティングが豪華で見ごたえがある」といった評価も根強くあります。ランディス監督自身は豪華なキャストとマリサ・トメイの才能について肯定的に振り返っており、2020年に映画評論家のリー・ファイファーが「興行的には失敗し、批評家からも攻撃された」と評する一方で「一部の映画ファンの間で再評価されてきている」とも記しています。
まとめ:スタローンの意外な素顔が光る異色のコメディ作
『オスカー』は、アクション一辺倒のイメージが強いスタローンが、フランス古典劇を原作とするスクリューボール・コメディという完全に異質なジャンルに真剣に挑んだ一作です。カーク・ダグラス、マリサ・トメイ、ティム・カリーら豪華なキャストが織りなすアンサンブルの妙と、ひとつの屋敷で繰り広げられる密度の高いドタバタ劇は、コメディ映画として独自の魅力を持っています。
興行的には苦戦した本作ですが、スタローンのフィルモグラフィーを語る上でも、また1930年代のスクリューボール・コメディの様式を受け継いだ1990年代ハリウッド映画の一例としても、映画ファンにとって一見の価値がある作品です。現在はDVDのほか各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。
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