【D-TOX(2002)】スタローン唯一のサイコ・スリラー!雪に閉ざされた療養施設の連続殺人を描く異色作を徹底解説

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※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

2002年に公開されたアメリカ映画『D-TOX』(原題:D-Tox、米国題:Eye See You)は、シルヴェスター・スタローンが主演したサイコ・スリラー/ポリス・アクション映画です。警官ばかりを狙う連続猟奇殺人犯に恋人を殺され、心を病んだFBI捜査官が、雪に閉ざされた法執行官専用の療養施設で再び殺人鬼と対決するという、スタローンには珍しいホラー色の強い作品となっています。監督は『ラストサマー』のジム・ギレスピー、共演にはトム・ベレンジャー、クリス・クリストファーソン、チャールズ・S・ダットン、ロバート・パトリックら個性派俳優が集結。完成から公開まで約3年を要したという波乱の製作背景でも知られる本作の全貌を、公的情報をもとに詳しく解説いたします。


作品概要:基本情報

『D-TOX』(原題:D-Tox、米国題:Eye See You)は、2002年に公開されたアメリカのサイコ・スリラー映画です。タイトルの「D-TOX」とは、劇中で主人公が収容される法執行官(警官)専用の療養施設の名称を指します。

監督はジム・ギレスピー、原案・脚本はロン・L・ブリンカーホフ(パトリック・ケリーも脚本に参加)、原作はハワード・スウィンドルの小説『Jitter Joint』。製作はリック・キドニー、撮影はディーン・セムラー、プロダクション・デザイナーはゲイリー・ウィスナー、音楽はジョン・パウエルが担当しています。製作はユニバーサル・ピクチャーズで、ロン・ハワードとブライアン・グレイザーのイマジン・エンターテインメントも関与していました。

項目内容
原題D-Tox(米国題:Eye See You)
製作年2002年(撮影は1999年)
製作国アメリカ
監督ジム・ギレスピー
原案・脚本ロン・L・ブリンカーホフ
原作ハワード・スウィンドル『Jitter Joint』
音楽ジョン・パウエル
撮影ディーン・セムラー
上映時間96分
配給(日本)UIP
日本公開2002年4月6日
米国公開2002年9月20日(限定公開)

あらすじ:雪に閉ざされた療養施設で再び始まる連続殺人

FBIの敏腕捜査官ジェイク・マロイ(シルヴェスター・スタローン)は、警官ばかりを狙う連続猟奇殺人犯を追っていました。しかし犯人は手がかりすら残さず、捜査は難航します。

そんな中、犯人はマロイ自身を標的にし始め、ついにはマロイの恋人メアリー(ディナ・メイヤー)を惨殺します。さらに同僚をも失ったマロイは、深い喪失感と自責の念から酒に溺れ、自殺すら考えるほど精神を病んでしまいます。

マロイを心配した友人で同僚のヘンドリックス(チャールズ・S・ダットン)は、マロイを法執行官専用の療養施設「D-TOX」へと送り込みます。そこは雪深い山中に隔絶された、心に傷を負った警官たちが回復を目指す施設でした。同じく心を病んだ警官たちと共同生活を送り始めたマロイでしたが、やがて施設内で入所者が一人また一人と殺害される事件が発生します。

外部から完全に隔絶され、猛吹雪によって脱出も救援も不可能となった施設の中で、マロイはかつて自分が追っていたあの連続殺人犯が施設に潜入していることに気づきます。犯人は誰なのか――。極限状況の中で、マロイは再び宿敵との死闘へと身を投じていきます。


キャスト紹介:豪華な個性派俳優が集結

シルヴェスター・スタローン(ジェイク・マロイ役)

本作の主人公で、恋人を殺され心を病んだFBI捜査官を演じています。得意のアクションよりも、苦悩し葛藤する弱さを抱えた主人公という、スタローンには珍しい役柄に挑んでいます。

トム・ベレンジャー(ヘンリー・ノーブル役)

療養施設に関わる人物を演じています。映画『プラトーン』(1986年)などで知られる個性派俳優です。

クリス・クリストファーソン(ジョン・ハーゲン・”ハンク”役)

療養施設を運営する人物を演じています。ミュージシャンとしても俳優としても活躍したベテランです。

チャールズ・S・ダットン(ヘンドリックス役)

マロイの友人で同僚の捜査官を演じています。マロイを療養施設へ送り込む重要な役どころです。

ポリー・ウォーカー(ジェニファー役)

施設に関わる人物を演じるイギリス出身の女優です。

ディナ・メイヤー(メアリー役)

マロイの恋人で、連続殺人犯に殺害される役を演じています。

ロバート・パトリック(ノア役)

施設の入所者の一人を演じています。映画『ターミネーター2』(1991年)のT-1000役で知られる俳優です。

このほか、ショーン・パトリック・フラナリー、クリストファー・フルフォード、スティーヴン・ラング、ロバート・プロスキー、コートニー・B・ヴァンス、ジェフリー・ライトなど、実力派・個性派の俳優が多数出演しており、豪華な顔ぶれとなっています。


制作背景:完成から公開まで約3年を要した「お蔵入り」の経緯

本作の最大の特徴は、その波乱に満ちた製作・公開の経緯にあります。

本作の撮影は1999年に、カナダのバンクーバーで行われました。当初は別の監督が手がける構想もあったとされますが、最終的にジム・ギレスピーが監督を務めました。製作にはロン・ハワードとブライアン・グレイザーのイマジン・エンターテインメントが関与していました。

しかし1999年に映画が完成した後、ユニバーサルがテスト試写を行ったところ、観客から非常に芳しくない反応が返ってきました。そのため作品は一旦お蔵入りとなり、追加撮影(リシュート)やストーリーの変更が行われました。悪役の殺され方を変えた新たな結末も撮影され、作業の過程で「Detox」「The Outpost」「Eye See You」など複数のタイトル候補が検討されました。

音楽面でも混乱があり、当初ジョン・パウエルが2つの完全なスコアを書きましたが、そのうち1つは採用されませんでした。最終的にはウィリアム・ロス、ジェフ・ザネリ、ニック・グレニー=スミスらによる追加音楽が加えられています。

こうした再撮影やタイトル変更を経てもなお、テスト試写での反応は改善せず、ユニバーサルは本作の北米での本格的な劇場公開を見送りました。最終的にアメリカでは2002年9月20日に『Eye See You』のタイトルで限定的に劇場公開されたのみで、同年11月30日にDVDがリリースされました。一方、北米以外の国々では『D-TOX』のタイトルで、デンマークを皮切りに世界各国で公開されています。日本では2002年4月6日にUIP配給で公開されました。

スタローン自身も後年、本作が広く公開されなかった理由について、映画は非常にデリケートなもので、何らかのトラブルや内部の混乱が作品への評価やスタジオの自信を損なってしまうことがある、という趣旨の説明をしています。


興行成績と評価

完成から約3年を経てようやく公開された本作でしたが、興行的には極めて厳しい結果に終わりました。各種資料によれば製作費は5,000万〜5,500万ドル規模とされる一方、北米での限定公開と海外公開を合わせても興行収入はごくわずかにとどまり、商業的には大きな失敗作となりました。

批評面でも、デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』を思わせる猟奇殺人もののスタイルを取り入れながらも、それを十分に活かしきれていないという指摘が多く見られました。一方で、隔絶された施設という閉鎖空間ならではの緊張感や、豪華な個性派キャストの存在、そしてスタローンが弱さを抱えた主人公に挑んだ点については、一定の評価をする声もあります。本作は当時のスタローンのキャリアにおける低迷期を象徴する一本として、『追撃者』(2000年)や『ドリヴン』(2001年)とともに語られることが多くなっています。


まとめ:スタローンの異色のキャリアを物語るサイコ・スリラー

『D-TOX』は、アクションスターとしての地位を確立したスタローンが、サイコ・スリラーという畑違いのジャンルに挑んだ稀有な作品です。完成から公開まで約3年を要し、複数のタイトルを経て世に出たという波乱の製作背景は、それ自体が映画ビジネスの厳しさを物語る興味深いエピソードとなっています。

作品としての評価は決して高くありませんが、雪山の閉鎖施設で展開する連続殺人という設定や、トム・ベレンジャー、ロバート・パトリック、ジェフリー・ライトといった豪華な俳優陣の共演など、見どころも少なくありません。スタローンのフィルモグラフィーの中でも特に異色の一本として、また2000年代初頭のハリウッドにおける製作トラブルの一例としても、映画ファンにとっては興味深い作品といえます。現在はDVDのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。


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