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2000年に製作されたアメリカ映画『ザ・コンテンダー』(原題:The Contender)は、アメリカ史上初の女性副大統領候補をめぐる議会の承認審議と、それを阻もうとする政敵の策謀を描いたポリティカル・ドラマです。主演はジョアン・アレン(『クルーシブル』『ニクソン』)、政敵役にゲイリー・オールドマン(出演・製作総指揮兼任)、大統領役にジェフ・ブリッジス、さらにクリスチャン・スレイター、サム・エリオット、マリエル・ヘミングウェイらが共演しています。監督・脚本はイスラエル出身の新鋭ロッド・ルーリー。本作でジョアン・アレンは第73回アカデミー賞主演女優賞に、ジェフ・ブリッジスは助演男優賞にそれぞれノミネートされるなど高い評価を受けた一作です。本記事では作品概要・あらすじ・キャスト・制作背景・評価まで、公的情報をもとに詳しく解説いたします。
作品概要:基本情報
『ザ・コンテンダー』(原題:The Contender)は、2000年に製作されたアメリカのポリティカル・ドラマ映画です。タイトルは「闘争者」を意味します。
監督・脚本はロッド・ルーリー、製作はジェームズ・スパイス、ダグラス・アーバンスキー、ウィリー・バー、マーク・フライドマン、製作総指揮はゲイリー・オールドマン、ライナー・ビンガー、撮影はデニス・マロニー、編集はマイケル・ジャブロー、音楽はラリー・グループが担当しています。製作会社はバトルグラウンド・プロダクション、配給はドリームワークスです。日本では日本ヘラルド映画配給のもと、2001年6月23日に劇場公開されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | The Contender |
| 製作年 | 2000年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督・脚本 | ロッド・ルーリー |
| 撮影 | デニス・マロニー |
| 音楽 | ラリー・グループ |
| 製作総指揮 | ゲイリー・オールドマン、ライナー・ビンガー |
| 製作費 | 約1,500万ドル |
| 上映時間 | 127分 |
| 配給 | ドリームワークス |
| 日本配給 | 日本ヘラルド映画 |
| 日本公開 | 2001年6月23日 |
| 全世界興行収入 | 約1,794万ドル |
あらすじ:アメリカ史上初の女性副大統領候補をめぐる政争
アメリカ合衆国の副大統領が急死しました。3週間後、民主党のジャクソン・エヴァンズ大統領(ジェフ・ブリッジス)は後任として、共和党から民主党に鞍替えした経歴を持つ女性上院議員レイン・ビリングス・ハンソン(ジョアン・アレン)を後任に指名します。アメリカ史上初の女性副大統領誕生の可能性に世論が注目する中、副大統領就任には議会の承認が必要でした。
議会承認の審議を取り仕切る下院司法委員会の委員長を務めるのは、共和党の大物議員シェリー・ラニヨン(ゲイリー・オールドマン)です。彼はレインの代わりに、自分が支持するバージニア州知事ジャック・ハサウェイ(ウィリアム・ピーターセン)を副大統領の座に就かせようとしていました。
ラニヨンはレインが大学時代に集団セックスに参加したという「スキャンダル」を写真や証言とともに公開し、清廉な人格者としてのイメージを持つレインを徹底的に攻撃します。しかし、レインはこの告発について沈黙を守ります。「事実であれ虚偽であれ、自分のプライバシーについて公式の場で釈明するつもりはない」という毅然とした姿勢を崩さないのです。
大統領首席補佐官カーミット・ニューマン(サム・エリオット)はレインを守ろうとしながらも、世論と議会の対応に苦慮します。FBI特別捜査官のペイジ・ウィルミナ(キャスリン・モリス)は独自に調査を進めます。若手民主党議員のレジナルド・ウェブスター(クリスチャン・スレイター)は調査委員として関与しながら、独自の政治的判断を迫られていきます。そして、スキャンダルの真相とハサウェイ知事の隠された秘密が次第に明らかになっていきます。
キャスト紹介:演技派が揃った豪華なアンサンブル
ジョアン・アレン(レイン・ビリングス・ハンソン役)
本作の主人公で、女性副大統領候補の上院議員を演じています。信念を曲げず、スキャンダル攻撃にも毅然と立ち向かう人物の内面を、オーバーな演技を排した静かで力強い表現で体現しました。本作での演技により第73回アカデミー賞(2001年)主演女優賞にノミネートされ、批評家から絶賛を受けています。映画ナタリーの紹介では「スキャンダルに立ち向かう女性副大統領候補の信念の戦いを、力強く描いた硬派な人間ドラマ」と評されています。なお本役での呼称については、日本語の資料によって「ジョアン・アレン」「ジョーン・アレン」の2種の表記が混在していますが、英語表記「Joan Allen」に対応するカナ表記はいずれも同一人物を指しています。
ゲイリー・オールドマン(シェリー・ラニヨン役)
本作の政敵役で、共和党の下院司法委員長として女性副大統領候補を徹底的に攻撃する人物を演じています。製作総指揮も兼任しており、本作への深い関与がうかがえます。実年齢より年上のベテラン議員を演じるために大胆なメイクを施して臨んでおり、嫌なほど現実的な政治家の狡猾さを体現しています。ファースト・クレジットはオールドマンですが、エンドクレジットのキャスト紹介でジョアン・アレンを最後に置く構成により、本作の真の主役がレインであることが明示されています。
ジェフ・ブリッジス(ジャクソン・エヴァンズ大統領役)
豪快で人間的魅力あふれる民主党の大統領を演じています。本作での演技により第73回アカデミー賞(2001年)助演男優賞にノミネートされています。
クリスチャン・スレイター(レジナルド・ウェブスター議員役)
承認審議の委員を務める若手民主党議員を演じています。
サム・エリオット(カーミット・ニューマン大統領首席補佐官役)
大統領を支える首席補佐官役で、実直な存在感を放っています。
ウィリアム・ピーターセン(ジャック・ハサウェイ知事役)
副大統領候補の「本命」と目されていたバージニア州知事を演じています。テレビドラマ「CSI:科学捜査班」で長期主演を務めた俳優です。
マリエル・ヘミングウェイ(シンシア・チャールトン・リー役)
重要な脇役として出演しています。アーネスト・ヘミングウェイの孫娘として知られる女優です。
フィリップ・ベイカー・ホール(オスカー・ビリングス共和党議員役)
レインの父親にあたる共和党議員役を演じるベテラン俳優です。
キャスリン・モリス(ペイジ・ウィルミナFBI特別捜査官役)
事件の調査にあたるFBI特別捜査官役で、重要な情報をもたらします。
制作背景:新鋭ロッド・ルーリーと当時のアメリカ政治の背景
本作の監督・脚本を担当したロッド・ルーリーはイスラエル出身のアメリカ人映画監督・脚本家で、本作以前は映画評論家として知られていました。本作は彼のハリウッドでの長編映画監督デビュー作に相当する作品として大きな注目を集めました。
本作が製作・公開された2000年前後は、1990年代のクリントン大統領をめぐる不倫スキャンダルとその議会での弾劾審議(いわゆる「クリントン・モニカ・ルインスキー事件」)が記憶に新しい時期にあたります。「セックス・スキャンダルが政治家の信任に影響を与えるのか否か」という問いや、「政治家のプライバシーと公の責任の境界線」というテーマは、当時のアメリカ社会にとってきわめてリアルな問題意識を持っていました。女性の政治進出という視点から、ジェンダーと政治をめぐる普遍的な問いを本作は正面から問いかけています。
ゲイリー・オールドマンが製作総指揮を担い、本作への強い信頼と意欲を示している点も重要です。エンドクレジットには「娘たち(our daughters)に捧げる」という献辞が記されており、本作が次世代の女性たちへのメッセージとして作られていることが明確に示されています。
評価:賛否を分けた政治的立場と俳優たちへの絶賛
製作費約1,500万ドルに対し、全世界興行収入は約1,794万ドルを記録し、製作費をほぼ回収する水準の興行成績となりました。
批評面ではジョアン・アレンの演技とジェフ・ブリッジスの演技が高く評価され、前述の通り第73回アカデミー賞(2001年)でそれぞれ主演女優賞・助演男優賞にノミネートされました。ロッテン・トマトーズでは批評家支持率78%と一定の好評を獲得しています。
一方で、本作の政治的立場(民主党に対して同情的、共和党に対してやや批判的な描写)については、公開当時から賛否の議論を呼びました。ゲイリー・オールドマン自身は公開後のインタビューで、完成した映画が脚本と異なる政治的偏りを持つと感じたとして批判的なコメントを述べており、製作総指揮として参加しながらも完成作に対して複雑な見方を示したことが伝えられています。
まとめ:女性政治家の信念と政治的策謀が激突する、今なお普遍的なポリティカル・ドラマ
『ザ・コンテンダー』は、「女性が最高権力に近い地位に就こうとするとき、何が起きるか」という問いを、卓越した俳優陣の演技を通じて力強く描いた政治ドラマです。ジョアン・アレンの静かながら揺るぎない演技、ゲイリー・オールドマンの巧みな悪役ぶり、ジェフ・ブリッジスの人間的な大統領像が絡み合い、単なる政治サスペンスを超えた人間ドラマとして機能しています。
女性の政治進出、プライバシーと政治、スキャンダル報道の問題は2000年代以降も繰り返し議論されており、本作のテーマは現在もなお普遍的な問いとして残っています。ポリティカル・ドラマがお好きな方、またゲイリー・オールドマンのフィルモグラフィーを辿る方にとって必見の一本です。現在はDVDのほか、各種動画配信サービスでも鑑賞可能です。
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