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ロバート・デ・ニーロとショーン・ペン、デミ・ムーアという豪華な顔ぶれが結集した1989年のアメリカ映画『俺たちは天使じゃない』は、脱獄囚が神父になりすますことから始まる痛快なコメディです。1955年に公開された同名映画のリメイクにあたる本作は、監督にニール・ジョーダン、脚本にデヴィッド・マメットを迎え、シリアスな要素とユーモアが同居する独特の作風で知られています。この記事では、作品の基本データから監督・脚本家の仕事、キャストの魅力、音楽やスタッフワーク、そして当時の評価まで、ネタバレを避けながら幅広くご紹介します。
1.作品の基本データ
『俺たちは天使じゃない』の原題は「We’re No Angels」で、1989年にアメリカで製作されたコメディ映画です。上映時間は101分から108分と資料によって表記に幅がありますが、配給会社UIPにより日本では1990年2月10日に劇場公開されました。ジャンルはアクション・コメディに分類され、時代設定は1935年、カナダとの国境に近いアメリカ東部の州刑務所から物語が始まります。製作はアート・リンソンが手掛け、主演のロバート・デ・ニーロが製作総指揮も兼任している点も本作の大きな特徴です。原作は1955年に公開された同名映画で、監督はマイケル・カーティスでした。そのオリジナル版はアルベール・ユッソンの戯曲を基にした舞台劇『My Three Angels』を映画化したものであり、今作はその流れを汲むリメイク作品にあたります。
2.監督ニール・ジョーダンの手腕
メガホンを取ったのはアイルランド出身の監督ニール・ジョーダンです。本作の前に手掛けた『プランケット城への招待状』が高く評価されており、その実績を買われて本プロジェクトに起用されました。ジョーダン監督はホラーやファンタジー、犯罪劇など幅広いジャンルを手掛けることで知られる作家性の強い監督であり、本作でも単純などたばたコメディに終わらせず、逃亡劇としての緊張感やヒューマンドラマの側面を織り交ぜた演出を見せています。デ・ニーロとショーン・ペンという演技派俳優をコメディの枠組みの中でどう生かすかという難しい舵取りを担った点も、本作を語るうえで欠かせないポイントです。
3.脚本デヴィッド・マメットと原作とのつながり
脚本を担当したのは、劇作家としても高い評価を受けるデヴィッド・マメットです。原作となった1955年版のオリジナル脚本はロナルド・マクドゥガルによるものでしたが、今作ではマメットが大幅に脚色を加え、コメディの中にサスペンスの要素を色濃く残す仕上がりとなりました。マメット特有の緊張感あるセリフ回しは、単なる喜劇にとどまらない緊迫したやり取りを生み出しており、脱獄囚たちが置かれる状況の切迫感をリアルに描き出しています。
もともとの物語の出発点は、フランスの劇作家アルベール・ユッソンが手掛けた戯曲『La Cuisine des anges』にあります。この戯曲がアメリカでサム・スピワックとベラ・スピワックによって舞台劇『My Three Angels』として翻案され、それがさらに1955年の映画版として結実しました。今作はその流れをくむ二度目の映画化にあたり、時代背景や設定を踏襲しつつも、マメットの手によって会話劇としての緊張感がより強く打ち出されています。原作の舞台劇からオリジナル映画、そして本作へと物語がどのように変化していったかを比較しながら鑑賞するのも、本作の楽しみ方のひとつです。
4.豪華キャスト陣の顔ぶれ
本作の大きな魅力のひとつが、当時の実力派俳優が一堂に会したキャスティングです。主人公ネッドを演じたのはロバート・デ・ニーロで、相棒のジムを演じたのはショーン・ペンです。ふたりのコンビネーションは本作の見どころのひとつとなっています。ヒロインのモリーを演じたのはデミ・ムーアで、当時人気が急上昇していた彼女の存在感も光ります。脇を固めるのは、レヴェスク神父役のホイト・アクストン、修道院の代表者を演じたブルーノ・カービイ、刑務所長役のレイ・マカナリー、脱獄犯ボビーを演じたジェームズ・ルッソ、そして通訳役のウォーレス・ショーンなど、個性豊かな顔ぶれです。なお、レイ・マカナリーは本作の公開前に急逝しており、エンディングロールには彼を追悼するメッセージが流れています。
5.撮影・音楽など制作スタッフの仕事
撮影を担当したのはフィリップ・ルースロで、1935年という時代設定を感じさせる陰影に富んだ映像が本作の雰囲気作りに大きく貢献しています。音楽を手掛けたのはジョージ・フェントンで、コメディとサスペンスの両方の要素を支える劇伴を提供しました。こうしたスタッフワークが、単純などたばた劇にとどまらない重厚な質感を本作にもたらしています。日本語吹替版では、堀勝之祐や安原義人、高島雅羅といった声優陣が出演していることも、テレビ放送などで本作に親しんできた世代には馴染み深いポイントかもしれません。
6.見どころとおすすめポイント
本作の見どころは、なんといってもデ・ニーロとショーン・ペンという実力派俳優が繰り広げる掛け合いです。シリアスな役柄で知られるふたりが、神父になりすますという設定の中でコメディエンヌぶりを発揮する姿は、他の作品とは一味違った魅力を放っています。また、脱獄と追跡というサスペンス要素と、修道院での生活を通じたユーモラスな展開が絶妙なバランスで同居している点も特徴です。1935年という時代設定を活かした美術や衣装にも注目したいところで、当時のアメリカ東部の田舎町の雰囲気が丁寧に再現されています。
さらに、デミ・ムーアが演じるモリーをめぐる人間ドラマや、聖職者になりすましたことで巻き起こる周囲との噛み合わないやり取りも笑いどころのひとつです。1955年のオリジナル版と見比べて、時代を経てどのように物語のトーンが変化したかを確認するのもおすすめの鑑賞方法です。ネタバレを避けるため詳細な展開には触れませんが、終盤にかけての緊張感のある展開は必見といえます。
7.公開当時の評価
本作はレビューサイトのRotten Tomatoesにおいて、19件のレビューを基にした支持率が47パーセント、平均点は10点満点中5.00点となっています。またMetacriticでは18件のレビューを基にした加重平均値が100点満点中48点と記録されており、批評家の評価は賛否が分かれる結果となりました。公開当時は、デ・ニーロとショーン・ペンというシリアスな演技派俳優をコメディに起用したキャスティングそのものが話題を呼び、賛否を含めて注目を集めた作品でもあります。
一方で、豪華なキャスト陣の演技や、コメディとサスペンスを融合させた独自の作風を評価する声も少なくありません。日本では劇場公開後にテレビ放送や吹替版ソフトを通じて長く親しまれており、洋画黄金期を彩った一本として記憶している方も多いのではないでしょうか。公開から長い年月が経った現在でも、デ・ニーロやショーン・ペンの初期のフィルモグラフィーを語るうえで欠かせない一本として、洋画ファンの間で語り継がれています。
8.まとめ
『俺たちは天使じゃない』(1989)は、ロバート・デ・ニーロとショーン・ペン、デミ・ムーアという豪華キャストに加え、監督ニール・ジョーダンと脚本デヴィッド・マメットという実力派スタッフが結集した異色のコメディ映画です。1955年のオリジナル版のリメイクという成り立ちを持ちながらも、独自の緊張感とユーモアを兼ね備えた作品に仕上がっています。まだ未見の方は、豪華キャストの掛け合いや当時の時代背景が生む雰囲気を楽しみながら、ぜひ本編をご覧になってみてはいかがでしょうか。
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